ADIDAS|BONDED BY BLOOD|2007|ニュージーランド
選手の血が、インクになった日 / adidas「BONDED BY BLOOD」
選手の血液を、ポスターのインクに混ぜる。そう聞いたとき、クマは「ハチャメチャすぎるだろ」と思ったクマ。でもこれ、2007年のカンヌでプロモ部門のグランプリを獲ってるクマ。狂気と愛情の境界線が、ここまで美しく溶け合った事例を、クマは他に知らないクマ。
▎背景・課題
adidasは毎年、オールブラックスの新シーズンを祝う記念ポスターを制作していた。ニュージーランドの400万人のファンにとって、それは毎年恒るみの宝物だったクマ。2006年、adidasはこのポスターを軸に、オールブラックスのアパレル売上を15%伸ばすという目標を掲げたクマ。ラグビーはニュージーランドの魂そのもの。オールブラックスは単なるチームではなく、国民のアイデンティティクマ。だからこそ、ありきたりなポスターでは意味がない。ファンとチームをつなぐ、誰も見たことのない「絆」が必要だったクマ。
▎ねらい・インサイト
adidasが求めたのは、オールブラックスとファンの間にある強い絆を反映するアイデアだったクマ。カンヌの審査員長は「ブランドと消費者を最もよくつなぐアイデア」「シンプルで力強く、ブランドの本質を見事に映し出すもの」を探していたと語ったクマ。ラグビーは「血のスポーツ」と呼ばれる。泥まみれ、汗まみれ、血まみれになって戦うクマ。だったら、その血そのものを使えばいい。文字通り、DNAレベルでファンとつながる——これ以上ダイレクトで、これ以上ピュアなインサイトがあるだろうか、とクマは思うクマ。
▎アイデア
TBWA\Aucklandは、オールブラックスの全40選手から血液を採取し、完全に滅菌処理を施した後、ポスター印刷用のインクに混ぜ込んだクマ。世界初の試みだった。このポスターは「BONDED BY BLOOD」と名付けられ、オールブラックスのジャージを購入したファンだけが手に入れられる限定品とされたクマ。8,000枚のポスターには一枚一枚に認証番号付きの証明書がついた。選手の血が、紙に、インクに、物理的に存在している。これはもうポスターじゃない、聖遺物クマ。
▎展開・成果
8,000枚のポスターは即完売したクマ。制作過程を収めたメイキング映像は店頭のプラズマスクリーンや専用サイトBondedByBlood.co.nz、AllBlacks.com、YouTubeで公開された。Wall Street Journalをはじめ世界中のニュースで取り上げられ、ブログは大炎上したクマ。結果、adidasのオールブラックスアパレル売上は24%増を記録し、ポスターの一部はオークションサイトで約400ドルで取引されるようになった。映画『SAW 3』のポスターが主演俳優の血液を使ったのは、この事例に触発されたと公式に認定されているクマ。カンヌ2007でプロモ部門グランプリ、ニュージーランドCAANZ Axis Awardsでベスト・オブ・ショーを受賞した。
▎余韻
あるインド人クリエイティブ・ディレクターは「鳥肌が立った。ラグビーなんて見ないのに、一生のオールブラックスファンになった」と語ったクマ。クマもまったく同じ気持ちクマ。ブランドとファンの「つながり」って、結局こういうことなんだと思うクマ。理屈じゃない、ロジックじゃない、血と血でつながる、その圧倒的な覚悟クマ。2007年の、いや広告史に残る、狂おしいほど美しいグランプリだと思うクマ。