GOVERNMENT OF REPUBLIC OF MACEDONIA|10 METERS APART|2013|マケドニア
10メートルが、世界を変えた / マケドニア共和国政府「10 METERS APART」
わずか10メートル。キリスト教徒とイスラム教徒が祈る場所の距離。でも、その10メートルが、史上初の共同祈祷を生み、バルカン半島で初めてのTitanium Lionを獲った、クマ。
▎背景・課題
2001年、マケドニアは民族紛争で引き裂かれた。アルバニア系武装勢力と政府軍の衝突。正教会の祈りとイスラムの祈りが交錯する映像、銃声、棺。かつて文化の交差点だったこの国は、キリスト教徒とイスラム教徒という二つの民族グループに分断されていた。政府は、宗教的寛容を「再導入」する必要に迫られていた。
▎ねらい・インサイト
10メートル。それは、ある村で発見された希望の距離だった。そこでは、キリスト教徒とイスラム教徒が、たった一つの寺院を共有していた。問題は対立ではなく、知らないこと、見ていないことだったのかもしれない。寛容とは、「自分が求める権利を、他者にも与えること」。その原理を、象徴的な一瞬で示せないか。
▎アイデア
史上初の共同祈祷を、カメラに収める。正教会の代表ミハイル神父と、イスラム共同体代表のミフタール・イスラミ氏が、同じ空間で、10メートル離れて、それぞれの祈りを捧げる。2分間の映像は、紛争のアーカイブ映像から始まり、静かな村へ。そして1分20秒、二人が祈る瞬間。最後に「平和は、終わりのないプロセスである」と告げる。
▎展開・成果
2013年カンヌライオンズでTitanium Lionを受賞。バルカン半島の広告としては史上初の快挙。マケドニア国内メディアはこの映像の扱い方を称賛し、監督たちは10月18日(共同祈祷の日)を「国民祈祷の日」として制定する運動を議会に提出。地域全体で宗教コミュニティが近づく動きを後押しした。
▎余韻
「一度きりのイベント」じゃなくて、「終わりのないプロセス」なんだよな、って思ったクマ。10メートルという物理的な距離が、心理的な距離を縮めるための最初の一歩だったこと。Titaniumは「game-changing creativity」に贈られる賞で、まさにこれは広告の枠を超えて、社会を動かした一本クマ。クマも、小さな一歩から始めるクマ。
▎クレジット
▎広告くんが選ぶ関連3本
同じ匂いがするクマ〜


