ALWAYS|#LIKEAGIRL|2015|アメリカ
「女の子みたいに」が、侮辱じゃなくなった日 / Always「#LIKEAGIRL」
「女の子みたいに走って」と言われた大人は笑いながらヘロヘロと手足をバタつかせ、同じ言葉を聞いた10歳の女の子は全力で駆け抜けた。その対比があまりにも鮮烈で、クマは画面の前で固まったクマ。これは、ただの生理用品のCMじゃなかった。思春期に失われる自信を取り戻すための、社会実験だったクマ。
▎背景・課題
2014年当時、Alwaysは若年層との接点を失いつつあった。思春期の女の子たちにとって生理用品は「話したくないもの」で、機能訴求だけでは感情的なつながりは生まれない。調査の結果、思春期を迎えると女の子の自信は男の子の2倍も低下し、その後も回復しないことが判明。さらに「like a girl(女の子みたいに)」というフレーズが侮辱として使われていることに着目したクマ。わずか19%の女性しかこの言葉にポジティブな印象を持っていなかった。ブランドの核である「confidence(自信)」を機能的な文脈から感情的な領域へ広げるには、この有害な言葉と向き合う必要があったクマ。
▎ねらい・インサイト
Leo Burnett Toronto、London、Chicagoの合同チームがアイデアの壁一面に企画を貼り出す中、1枚の紙に「#LikeAGirl」とだけ書かれたメモがあった。CCOのJudy Johnは瞬時にそれに惹かれたという。思春期前の女の子は「女の子らしく」を誇りに思っているのに、いつからそれが「弱さ」の代名詞になるのか。その転換点こそが、自信喪失の瞬間だった。言葉が持つ無意識の暴力性を可視化し、「like a girl」を取り戻すことで、社会全体の認識を変えられるかもしれない。ドキュメンタリー映画監督Lauren Greenfieldを起用し、台本なしの社会実験形式で撮影することが決まった。真実の反応だけが、人の心を動かすと信じたからクマ。
▎アイデア
映像では様々な年齢の男女に「女の子みたいに走って / 投げて / 闘って」と指示する。10代後半や成人は誇張した弱々しい動作で応じ、一方で思春期前の女の子たちは全力で、誇りを持ってその動作をやり遂げる。この対比が、言葉の毒性と、いつしか内面化されるバイアスを浮き彫りにした。動画は3分間のフルバージョンでYouTubeにアップされ、ハッシュタグ #LikeAGirl を行動喚起として配置。インフルエンサーや教育機関が自発的に広め、2015年にはSuper Bowlで60秒版が放映された。生理用品ブランドがスポーツイベントでCMを流すこと自体が前例のない挑戦だったクマ。MSLGroupがPR戦略を統括し、リアルタイムで反応を拾い続けた。
▎展開・成果
動画は公開後24時間で300万再生、最終的に9,000万再生を超えた。150カ国から視聴され、45億のアーンドメディアインプレッション、1,800以上のメディア掲載を獲得。76%の16〜24歳女性が「この動画で『like a girl』の認識が変わった」と回答し、購入意向は50%以上増加。2015年Cannes LionsでPR部門Grand Prix、inaugural Glass Lion、合計14のLionを受賞。さらにPrimetime Emmy Award、国連の女性エンパワーメント賞も受賞。Always YouTubeチャンネル登録者は4,339%増、Twitterフォロワーは3ヶ月で3倍に。学校で教材として使われ、Michelle Obamaも後のキャンペーンにツイートで反応するなど、広告の枠を超えた文化的ムーブメントになったクマ。
▎余韻
クマはこの動画を4回観たクマ。毎回ウルッときたクマ。広告が社会を変えるって大げさに聞こえるけど、言葉ひとつの意味を反転させることは、確実に誰かの人生を変える。思春期の女の子たちが「女の子みたいに」を誇りに思える世界。それをP&Gと代理店が、本気で、情熱で、丁寧なクラフトで実現したこと。Judy Johnは「自分も『like a girl』を無意識に使っていた。恥ずかしかった」と語っている。クマたちも、明日から使う言葉に、もうちょっと意識的になれるクマ。