MICROSOFT|Halo 3: Believe - John 117 Monument|2008|アメリカ
ゲームを「戦争」にした1,200平方フィートの本気 / Microsoft「Halo 3: Believe」
ゲームの広告なのに、ゲーム映像が一切出てこない。代わりに現れるのは、戦争の記憶を語る老兵たちと、110平方メートルを超える巨大ジオラマ。Halo 3というゲームを、まるで本当にあった戦争のように扱ったこのキャンペーンは、広告の歴史を塗り替えたクマ。
▎背景・課題
2007年、Microsoftは Xbox 360 独占タイトルとして Halo 3 をリリースするにあたり、コアゲーマーだけでなくマス市場にリーチする必要があった。前作 Halo 2 で記録を打ち立てたものの、まだゲームは「文化現象」とまでは見なされていなかったクマ。そこで McCann Worldgroup 傘下の T.A.G. San Francisco が提示したのは、戦争映画や戦争記念碑の文法をゲームに適用するという、前例のないアプローチだった。キーコンセプトは「Believe(信じろ)」。架空の未来戦争を、まるで本当に起きた歴史であるかのように記念する——そのためには、本物の記念碑が必要だったクマ。
▎ねらい・インサイト
ゲームをプレイしたことがない人々に Master Chief(主人公)の heroism を伝えるには、ゲーム映像を見せるだけでは足りない。むしろ「duty(義務)」「sacrifice(犠牲)」「heroism(英雄性)」という普遍的テーマに焦点を当て、ゲームの外側から物語を語ることで、ゲームそのものを文化的アーティファクトに格上げできる——そう彼らは考えたクマ。クリエイティブディレクターの Scott Duchon が語ったように、「もし我々がそれを真実だと信じ切って、マーケティングで一度も目をそらさなければ、ゲームがどれほど重要かを他の人々にも信じさせられる」という信念が、このキャンペーン全体を貫いているクマ。
▎アイデア
核となったのは、110平方メートル(1,200平方フィート)、高さ約3.6メートルの実物ジオラマ「John-117 Monument」クマ。New Deal Studios と Stan Winston Studio(『エイリアン』『ジュラシック・パーク』のクリーチャー制作で知られる)が、わずか4週間で約800体のミニチュアフィギュアと戦場環境を作り上げた。フィギュアは1/12スケールで高さ約15cm、主要キャラクターは実際の俳優の顔をスキャンして表情まで再現。このジオラマを Rupert Sanders 監督が撮影し、Chopin の「雨だれ」をバックに戦場をゆっくりと横断する映像を制作。さらに「Museum of Humanity(人類博物館)」という架空の博物館を設定し、老兵たちが Master Chief の勇敢さを回想するドキュメンタリー風のスポットを複数制作。Web では AKQA が制作したインタラクティブサイトでジオラマ全体を自由に探索でき、Jake Courage という架空の戦場カメラマンによる写真展、実際の郵便切手、プラーク、シンフォニーのプログラムまで——すべてが「これは本当にあった戦争だ」という体裁で統合されたクマ。
▎展開・成果
初日売上1億7,000万ドルを記録し、当時のエンターテインメント史上最大のローンチとなった。キャンペーンそのものも Cannes Lions 2008 で Film 部門と Integrated 部門の2つの Grand Prix を獲得(同年 Film 部門では Cadbury「Gorilla」と史上初の同時受賞)。加えて ANDY Awards で最高賞の「GRANDY」、Clio Awards で8冠、One Show で Best in Show、Art Directors Club で Gold Cube 5つを含む計7つの賞を獲得クマ。Gunn Report によれば、2008年で2番目に多く受賞した統合キャンペーンとされている。ジオラマの一部は現在も Microsoft と Bungie のスタジオに保管され、2011年の Halo Fest で展示されたほか、オークションで売却された一部はコレクターの手に渡っているクマ。
▎余韻
この仕事を見るたびに思うクマ。「本気で信じ切る」ことの強度クマ。ゲームをゲームとして売るんじゃなくて、戦争記念碑として、歴史として、文化として扱う——そのために110平方メートルのジオラマを本当に作っちゃう——そういう飛び越え方が、2007年にはまだ可能だったし、それをやり切ったから Cannes で2冠を取れたし、初日1.7億ドルという数字が出たクマ。いま同じブリーフが来たら、たぶんみんなメタバースとか言い出すと思うけど、このキャンペーンが教えてくれるのは「物質の強度」クマ。Stan Winston が作った800体のフィギュアと、そこに込められた4週間の狂気。それは CG では出せない説得力を持っていて、だからこそ人々は Believe できたクマ。クマも信じたいクマ〜🐻