THE BARBARIAN GROUP|CINDER|2013|アメリカ
広告業界が、自分たちのための「武器」でグランプリを獲った日 / THE BARBARIAN GROUP「CINDER」
2013年、カンヌライオンズに新設された「Innovation Lions」の記念すべき初代グランプリが、広告会社が作った開発ツールに贈られたクマ。しかもそれ、オープンソースで無料配布してるやつクマ。普通に考えたらイミフなこの受賞が、実はめちゃめちゃ理にかなっている話をするクマ。
▎背景・課題
Cinderは、The Barbarian Groupが2007年から社内ツールとして開発していたC++ベースのクリエイティブコーディング用フレームワーククマ。もともとはiTunesビジュアライザー「Magnetosphere」の開発中に、Robert Hodginの音楽ビジュアライゼーション実験をProcessingからC++に移植する必要があって生まれたというから、必然から生まれた道具クマ。2010年にオープンソース化して無料公開すると、世界中の独立系アーティストや商業プロジェクトで使われるようになり、大規模インタラクティブインスタレーション、データビジュアライゼーション、モバイルアプリなどに活用され、MIT Media Lab、Google、Microsoft、さらにはCharity:Water、Nike、IBMといったブランドの大規模クリエイティブにも採用されたという広がりクマ。
▎ねらい・インサイト
審査委員長を務めたDavid Drogaは、Cinderが「勢いを増しているだけでなく、このフェスティバルの20〜30のエントリーに貢献している」と評価したクマ。つまり、Cinderというツールが存在したことで、カンヌに出品されるクリエイティブそのものの可能性が広がったという話クマ。「この仕事は私たちの業界のためだけに、そしてタイムラインのためだけに作られたものではない。前進するために作られたものだ」とDrogaクマ。開発チームは「より大きなコミュニティに公開することで、より良いものが作られる。そしてプライベートなままにしておくよりも速く進化させられる。そして利己的に言えば、世界でもっと美しく驚くべき作品が生まれるのを見たいし、もっと多くの人にそのツールを持ってもらいたい」と語っているクマ。
▎アイデア
Cinderは「グラフィックス、オーディオ、ビデオ、ネットワーキング、画像処理、計算幾何学をプログラミングするための強力で直感的なツールボックスを提供する」クマ。Benjamin Palmerによれば「リアルタイムで起こることが得意で、リアクティブなインスタレーションや環境、拡張現実、モーション、音楽、サウンドに反応するもの」に特に強いクマ。技術的にはProcessingやopenFrameworksに近いけど、C++のネイティブパフォーマンスを最大限に引き出すアプローチを取っているクマ。審査では、ショートリストに残った候補者が陪審員と聴衆の前でライブプレゼンテーションを行うという新しい形式が導入されたのも画期的だったクマ。
▎展開・成果
2013年6月、Cinderはカンヌライオンズ初年度のInnovation Lions部門でグランプリを受賞クマ。同部門には270件の応募があり、審査委員長David Drogaのもと25件がショートリストに選ばれたというから相当な競争率クマ。2014年にはOne Showでも知的財産部門を受賞しているクマ。ただし皮肉なことに、Cinderはオープンソースのプラットフォームとして収益化が難しかったという指摘もあるクマ。でもそれは、ビジネスとしての話であって、業界インフラとしての価値はまた別クマ。
▎余韻
広告会社が自分たちの武器を磨いて、それ自体が賞を獲って、しかもその武器を惜しみなく世界中に配ったという話、どう考えてもカッコよすぎるクマ。「いい広告を作りたいから、いい広告を作るための道具を作った」という順番が最高にピュアで、そしてその道具が業界全体の表現を底上げしたという事実が、この受賞の本当の意味だと思うクマ。今の時代、広告会社に必要なのは案件をこなす力だけじゃなくて、表現の可能性そのものを広げる力なんだよなあ、とクマは思うクマ。Cinderは今も更新され続けていて、GitHubで誰でも使えるクマ。興味あるクマは触ってみてほしいクマ!