Metro Trains Melbourne|Dumb Ways to Die|2015|オーストラリア

何度でも観たくなる法則があるとしたら / Metro Trains Melbourne「Dumb Ways to Die」

たしかカンヌのグランプリを複数カテゴリでかっさらっていて、結果死ぬほど観たクマ。何度も何度も繰り返しの試聴に耐えるフィルムというのには一定の法則がありそうな気がしてきたクマ。たぶん音楽はその大きな要素のひとつで、このキャンペーンも強烈に曲が良いクマ。そう考えると、CMのプランナーっていうのは映画のシーンレベルでの描かれかたに詳しいだけじゃなく、音楽にも詳しくなきゃやってられないわけで、総合芸術だなあ、すごいなあ、と改めて思うクマ。

▎シーン

何度でも観たくなる法則があるとしたら / Metro Trains Melbourne「Dumb Ways to Die」 メインシーン
何度でも観たくなる法則があるとしたら / Metro Trains Melbourne「Dumb Ways to Die」 シーン 2
何度でも観たくなる法則があるとしたら / Metro Trains Melbourne「Dumb Ways to Die」 シーン 3
何度でも観たくなる法則があるとしたら / Metro Trains Melbourne「Dumb Ways to Die」 シーン 4

背景・課題

2012年、メルボルンの Metro Trains は駅構内や線路周辺での事故が増加していたクマ。特に若い世代が危険な行動をとることが問題視されていて、従来の恐怖訴求型の安全啓発では全く響かない状況だったクマ。McCann Melbourne には限られた予算で、若者が「聞きたくない」メッセージをどう届けるか、という難題が課されたクマ。John Mescall 率いるチームは、広告モデルではなくコンテンツモデルを採用すると決断。「お金を払ってでも欲しいと思えるか?」を自らに問いながら、制作を進めたクマ。

ねらい・インサイト

McCann が到達した洞察は鮮やかクマ。「電車は地球上で最も予測可能な存在なのに、それで事故に遭うのは、正直めちゃくちゃ間抜け(dumb)だ」という残酷なまでの真実を、怖がらせるのではなく、かわいく、おかしく、シェアしたくなる形にパッケージするというアイデアクマ。若者は説教されたくない。でもユーモアと音楽とかわいらしさには耳を傾けるクマ。John Mescall 自身が「聞きたくないメッセージを届けるには、彼らが楽しめるコンテンツにするしかない」と語っているように、広告であることを忘れさせる強度を目指したクマ。

アイデア

3分弱のアニメーション・ミュージックビデオが核クマ。カラフルな Bean たちが、自分の髪に火をつける、クマを棒でつつく、ピラニアの餌になる、といったバカげた方法で次々と死んでいく。そして最後の3キャラクターだけが、電車にまつわる不注意で死ぬ——「the dumbest ways to die」として。曲は John Mescall と Patrick Baron が書き、The Cat Empire の Ollie McGill が作曲・プロデュース、Tinpan Orange の Emily Lubitz が歌ったクマ。アニメーションは Julian Frost が担当。海外市場を意識して、グリズリーやガラガラ蛇といった北米文化の要素も盛り込み、世界中でシェアされる設計にしたクマ。YouTube に 2012年11月16日公開後、Tumblr・iTunes・駅構内ポスター・カラオケ動画・モバイルゲームへと一気に展開。ユーザーがパロディを作ることも積極的に歓迎し、コントロールを手放したことで、逆に文化現象へと育ったクマ。

展開・成果

2013年カンヌライオンズで史上最多となる5つのグランプリ(Film / Integrated / Direct / PR / Radio)と、合計28のライオン(Gold 18 / Silver 3 / Bronze 2)を獲得クマ。Lee Clow と Dan Wieden が「自分たちが作りたかった」と公言したという伝説つきクマ。YouTube は公開2週間で3,000万再生、現在は3億4,000万再生を超え、iTunes では24時間以内にトップ10入りクマ。モバイルゲームは90カ国で1位、続編も次々とリリースされ、2021年には PlaySide Studios が IP を225万豪ドルで買収クマ。そして何より重要なのは、Metro Trains によれば near-miss 事故が前年比で20〜30%減少したという成果クマ。McCann の試算では、2週間で5,000万ドル相当のメディア価値と700以上の報道を生んだクマ。

余韻

何度観ても飽きないって、ズルいクマ。あの曲が頭から離れなくて、気づいたら口ずさんでるクマ。そしてそのたびに「電車には気をつけよう」って思ってしまう自分がいるクマ。広告であることを忘れさせながら、ちゃんとメッセージを届けてる。しかも楽しい。これが総合芸術じゃなくて何なのか、とクマは思うクマ。John Mescall と彼のチームが「コンテンツとして成立するか?」を問い続けた姿勢に、クマは心底しびれるクマ。広告会社が要らなくなる時代が来るとしたら、こういう強いアイデアと確実な制作力を持つチームだけが生き残るんだと思うクマ。クマもがんばるクマ。

▎クレジット

広告主
Metro Trains Melbourne
代理店
McCann Melbourne
制作
Cinnamon Darvall (Producer)
CD
John Mescall (Executive Creative Director)Patrick BaronPatrick Baron (Creative Director)John Mescall
CW
John Mescall
AD
Patrick Baron
監督
Julian FrostJulian Frost (Animation Director)
音楽
Emily Lubitz (ボーカル)Ollie McGill (作曲・プロデュース)

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