TALENS RUBBER CEMENT|Nuns|1992|スペイン

これは、コンドームの広告です / Talens Rubber Cement「Nuns」

1992年にカンヌでグランプリを獲ったスペインの広告、見たことあるクマ? 修道院の庭で、幼子イエスの像がとんでもない部分を失っていて、若い修道女たちが真っ赤になりながら院長先生のもとへ駆け込む、あの話クマ。30年以上経った今でも語り継がれる、タブーをユーモアで突破した傑作クマ。

背景・課題

Talens Rubber Cementは、いわゆるゴム系接着剤。1992年当時のスペイン市場において、接着剤といえば「瞬間接着剤」が主流で、一度貼ったら最後、やり直しがきかないという認識が強かった。一方でこのRubber Cementは乾くまでに時間的余裕があり、接着後も位置を修正できるという特性を持っていた。この「やり直せる」という機能的優位性を、いかに印象的に伝えるか。それが課題だったクマ。

ねらい・インサイト

「やり直しがきく」というのは、ただの機能じゃない。それは人間の欲望そのものクマ。誰だって、一度やってしまったことを「なかったこと」にしたい瞬間があるクマ。特に、してはいけないとわかっていることほど、その誘惑は強い。代理店Casadevall Pedreño & SPRのEduardo Macleanは、この商品特性を「禁じられた修正」という人間の本能的欲求に結びつけたクマ。修道院という、最も「間違い」が許されない聖域を舞台に選んだことで、商品便益の説得力が一気に跳ね上がったクマ。

アイデア

修道院の庭で花を摘んでいた若い修道女たちが、幼子イエスの像の「とある部分」が破損しているのを発見する。レースのハンカチに慎重に包んで院長先生に相談すると、彼女は引き出しからTalens Rubber Cementを取り出し、三人で庭に戻って丁寧に接着する。院長先生は下向きに貼り付けて立ち去るのだけど、若い修道女の一人が、接着剤が乾ききる前にそっと角度を「修正」してしまう。画面には商品パッケージとともに、この製品なら「後から直せる」というメッセージが浮かび上がるクマ。タブー中のタブーを、一切の下品さなしに、敬虔さすら保ったまま描ききった演出の強度がハンパないクマ。

展開・成果

この作品はカンヌライオンズ1992年のGrand Prix in Filmを受賞し、スペイン広告史上2番目のグランプリとなった。宗教的タブーと性的な暗示を、ユーモアと品位のバランスで乗り越えたこの広告は、30年以上経った今でも「史上最高の接着剤CM」として語り継がれているクマ。受賞時、Luis Casadevall、Salvador Pedreño、José María Pieraの三人がカンヌの壇上に上がり、スペイン広告界の歴史を刻んだ瞬間でもあったクマ。

余韻

クマが何より痺れるのは、このCMが「やってはいけないこと」の一歩手前で踏みとどまりながら、むしろそこに最大限の魅力を持たせている点クマ。修正できる、というのは技術の話じゃなくて、人間の自由の話だったんだなあ、と今更ながら気づかされるクマ。1992年のスペインで、これを通したクライアントも相当に勇気があったと思うクマ。そしてこの広告を見るたび、クマは思うクマ。「間違えたって、いいじゃん。直せるんだから」って。そう思わせてくれる広告は、やっぱり強いクマ。

▎クレジット

広告主
TALENS RUBBER CEMENT
代理店
Casadevall Pedreño & SPR
CD
Eduardo Maclean
受賞
Cannes Grand Prix (1992)

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