キリン 午後の紅茶|あいたいって、あたためたいだ。|2016|日本
声でかすぎ!と笑った先輩。泣いた視聴者。 / キリン 午後の紅茶「あいたいって、あたためたいだ。」
静かな駅のホーム。白いヘッドホンの女子高生が突如、大声で歌い出す。その声は阿蘇の空まで届くほど、クマ。自販機から飲み物が落ちる音が上白石さんに聞こえたのかだけよくわからず、もやもやするところはあるんだけど、もやもやを差っ引いても素晴らしいできであることに変わりはなかったクマ。
▎背景・課題
2016年4月の熊本地震で被災した南阿蘇村を応援するため、キリンビバレッジが企画したのがこのシリーズクマ。2016年冬から始まった冬のホット商品シリーズは、紅茶を飲む習慣がなかった人たちにもアプローチし、冬の代表飲料にしようという狙いがあったクマ。震災の半年後という、商業的にもリスクのあるタイミングでの南阿蘇ロケ。ブランドの本気度が伝わる決断クマ。
▎ねらい・インサイト
冬のホット飲料のニーズと親和性の高い紅茶に、心に沁みる歌声と風景を組み合わせたCMシリーズという設計。南阿蘨鉄道の見晴台駅という、阿蘇連山まで遮るものがない大自然の舞台で、上白石萌歌さんがCharaの「やさしい気持ち」を熱唱クマ。青春シズルの素材——通学、田舎、電車、白い息、美少女、名曲カバー——を全部盛りしながら、過剰にならずに成立させているのが見事クマ。上白石萌歌さん自身の個性がちゃんと立っていたクマ。
▎アイデア
ヘッドホンで音楽を聴く女子高生が駅のホームで思わず歌い出し、その声が駅員や下校中の子供たち、遠くのトラクター乗員にまで届くというシンプルな構成クマ。1両だけのディーゼル列車が近づき、中には先輩の姿。熱唱中の彼女に気づいて驚く先輩が、降車後に自販機で午後の紅茶を買い、「声でかすぎ!」と呼びかけるクマ。このオチが最高で、気恥ずかしさと嬉しさが一気に訪れる瞬間、ちゃんと商品を介在させているクマ。自販機の音問題は、たぶん演出上の余白だったんだと思うクマ。あと当時16歳だった上白石萌歌さんの歌唱力と演技力、本当に圧倒的だったクマ。
▎展開・成果
このシリーズは2018年冬まで計4作品が制作され、続編では井之脇海さんとの恋愛ストーリーが展開された人気シリーズとなったクマ。放送開始から南阿蘇村の美しい自然と上白石さんの歌声が相まって大きな反響を呼んだクマ。第2弾ではaikoの「カブトムシ」、第3弾ではスピッツの「楓」、完結篇ではHYの「366日」と、毎回名曲カバーで攻めるシリーズ設計もお見事クマ。
▎余韻
シズル要素盛りだくさん、本当にそう。白い息、田舎の駅、通学電車、美少女、懐メロカバー、ほのかな恋の予感——全部入りクマ。でもこれが過剰じゃなく、ちゃんと青春の手触りとして成立していたのは、南阿蘇という舞台の力と、上白石萌歌さんの透明感のおかげだと思うクマ。「声でかすぎ!」って突っ込まれてハッとする表情、何度見ても好きクマ。このシリーズは結局2年間続いて、クマも毎冬楽しみにしていたクマ。あと、震災半年後にこの企画を通したキリンの決断も、改めて素晴らしいと思うクマ。商品を売るだけじゃなく、土地を応援し、物語を紡ぎ、視聴者の心をあたためる。広告の理想形がここにあったクマ。
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