JR東海|会うって、特別だったんだ。|2022|日本
33年の時を超えて、またここで手を振る / JR東海「会うって、特別だったんだ。」
1988年、深津絵里はホームで恋人を待っていた。2022年、彼女は新幹線で大阪へ出張するビジネスパーソンになっていたクマ。この33年の時間の流れを、JR東海はたった60秒の中に静かに封じ込めたクマ。
▎シーン
▎背景・課題
コロナ禍で「会いたいのに、会えない」という日々が続く中、JR東海は「会うことの価値をもう一度見つめ直したい」という想いからこのキャンペーンを始めたクマ。コロナ前、東海道新幹線の利用者の約7割はビジネス客だった。テレワークが普及し、オンライン会議が当たり前になった時代に、東海道新幹線で人と人の出会いを支えてきたJR東海は、乗客の6割を占めるビジネスパーソンに向けて「会うことの価値」を表現するCMを作りたいと考えた。
▎ねらい・インサイト
企画を担当した電通の野崎賢一氏は「企画の糸口になったのは、コロナ禍での自分の仕事での経験」だと語る。毎月撮影していたCMが一時撮れなくなり、その後スタッフと再会したとき、うれしくて手を振り合った。「その瞬間、みんなで会って仕事をするって、特別なことだったんだと思いました」クマ。もう1つの糸口が「クリスマス・エクスプレス」。1988年のCMは「物質的に豊かになってきた一方で、やっぱり一番の幸せは、人と人が会うことだと気付かされた。その時代の空気を描くという意味で、ドキュメンタリーに近い」と野崎氏は語り、「クリスマス・エクスプレスから一番受け継ぎたかったのは、その時代の空気を描くこと」だった。今の時代を描くなら、マスクを着けている人たちを描くべきだ、と。
▎アイデア
大阪出張の帰り、東京行きの新幹線に乗り込んだ深津絵里。座席に着くとコーヒーを一口飲み、窓の外を見ながらその日の出来事を思い返す。取引先と対面での打ち合わせ。見本素材などを見ながら、身振り手振りでプレゼンし、充実した議論が繰り広げられる。打ち合わせが終わり、ビルの1階で別れの挨拶を交わす一同。深津は駅に向かって歩き始めるも、急に振り返る。そこには、照れくさそうな様子で手を振る取引先の姿。深津も同じく、少し恥ずかしがりながら手を振り返す。「マスクを外して微笑む」演出、紙の素材という対面の必然を描く丁寧さ、深津絵里を「単なる登場人物の一人」として描く控えめさ、共演する男性3人のキャスティング、すべてが思考と配慮に満ちているクマ。野崎氏は「提案当初から1年以上かけて、形を変えながら、少しずつ、つくりあげていったキャンペーンでした」と振り返るクマ。
▎展開・成果
60秒版は2022年1月16日、TBS系ドラマ『DCU』内で初放映され、同ドラマの平均視聴率は個人で10.3%、世帯では16.8%を計測した。まん延防止等重点措置の適用を受け、5日間で放送を取りやめた。JR東海広報部の古澤秀明氏は「開始時点で大きな反響を得られたので、休止の決断もすばやくできた」と話す。その後も、SNSでの再生回数が伸び続けているクマ。1月17日から、東京、大阪、名古屋の各駅で深津の屋外広告も掲出された。CMソングはodolが書き下ろした新曲「望み」。「直接会うことで、自然と笑顔が溢れ出す。そんなシーンに今の自分たちを重ねながら、確かにそこに存在する空気や温度を歌にしました」とコメントしているクマ。
▎余韻
「会うのが、いちばん。」から33年。時代は変わっても、人と人の「会いたい」という気持ちは変わらない。そのことを、深津絵里という一人の女性の時間の流れを通して静かに描いてみせたこのCMは、突飛なことをしなくても人の感情を丁寧に描き出せばここまで到達するという意味で、参考にすべき仕事だとクマは思うクマ。企画、演者、演技、コピー、ディテールまで演出、音楽、タイミング、すべてが良い。誠実さと丁寧さが詰まりきっていて、尊敬に値するクマ。
▎クレジット
- 広告主
- JR東海
- 代理店
- 電通
- 制作
- ギークピクチュアズ、J.C.スパーク
- CD
- 野﨑賢一
- 音楽
- odol「望み」(作詞:ミゾベリョウ作曲:森山公稀)
- Cast
- 深津絵里
▎タグ
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