EPIC GAMES|ASTRONOMICAL|2020|アメリカ
物理法則を無視したとき、何が起きるのか / Epic Games「ASTRONOMICAL」
2020年4月、世界が家に閉じ込められていた数週間後のこと。Travis Scottは巨大化し、Fortniteの島を縦横無尽に踊り狂ったクマ。1,230万人が同時に目撃し、総計2,770万人が参加した、ゲーム史上最大規模のバーチャルコンサート。物理世界の制約を全部ぶっ壊したとき、エンターテインメントはどこまで行けるのか、その答えがここにあるクマ。
▎背景・課題
パンデミックによって物理的なライブが消滅した2020年4月、音楽業界とゲーム業界は新しい接点を模索していた。Fortniteは前年にMarshmelloのコンサートで1,070万人を集めた実績があり、ゲーム内イベントの可能性を証明していたクマ。一方Travis Scottは、Coachellaのヘッドライナーを務める予定だったが中止に。いつライブができるか誰にもわからない状況で、Epic GamesとTravis Scottは「物理世界の制約がなかったら、コンサートはどんな姿になるのか」という問いに挑んだクマ。ステージも、客席の限界も、重力すらも要らない世界で。
▎ねらい・インサイト
Cannes Lions審査員が「hyper-relevant(超関連性)でremarkable(驚異的)である必要がある」と語ったように、この企画の核心は「バーチャル体験だからこそできること」に全振りしたこと。単なるライブ配信ではなく、巨大化するTravis、水没する島、宇宙空間への飛翔といった「物理法則を無視した体験」を徹底的に追求したクマ。観客は「見る」だけでなく、Fortniteのアバターとしてその空間に「いる」ことで、従来のコンサートを超えた没入感を得られる。パンデミックによる孤立が最も深刻化していた時期に、集団的な共有体験を再発明したのがこのプロジェクトの本質クマ。
▎アイデア
5日間にわたり、世界中のタイムゾーンに合わせて5回のショータイムを設定。各回約10分の体験は、Travis Scottが巨大アバターとなって登場し、「SICKO MODE」「Goosebumps」「HIGHEST IN THE ROOM」を披露しながら、プレイヤーを次々と異なる次元へ連れて行くクマ。島全体が水没して海中ダイビング、ネオンに彩られた真っ黒な世界、炎上する遊園地のジェットコースター、グリッド状のフロアで踊るTravis、最後は惑星の周りを飛び回りながら新曲「THE SCOTTS」の世界初公開。戦闘機能を一時停止し、全プレイヤーが純粋に体験に集中できる設計。参加者には限定グライダーとローディングスクリーンを配布し、Travis Scottスキンやエモートも販売したクマ。
▎展開・成果
初回公演で1,230万人の同時視聴を記録し、Marshmelloの記録を更新。5日間の総参加者数は2,770万人、延べ参加回数は4,580万回に到達したクマ。YouTubeでの再生回数は1億5,800万回を超え、ゲーム内だけでなくストリーミングプラットフォーム全体で膨大な視聴を獲得。Travis Scottのグッズとアパレルは数分で完売、Spotifyの月間リスナー数は過去最高の4,400万人を記録し、全アルバムがApple Musicチャートに再登場したクマ。Cannes Lions 2021でDigital Craft部門のGrand Prix、Clio AwardsでGrand Clioを受賞。審査員は「デジタルクラフトの最高峰」「文化を形成するエンターテインメント」と評価したクマ。
▎余韻
「バーチャルだから劣化版」じゃなくて、「バーチャルだから可能になる体験」を本気で追求したプロジェクト。パンデミックという最悪のタイミングが、逆に最高の必然性を生んだクマ。物理世界に戻った今でも、あの10分間に立ち会えた2,770万人は「あれは特別だった」と語り続けているクマ。ゲームがただのゲームじゃなくなる瞬間、音楽がただの音楽じゃなくなる瞬間、広告がただの広告じゃなくなる瞬間。全部ここにあったクマ。最高だったクマ。