John Lewis|Buster The Boxer|2016|イギリス

トランポリンをめぐる、静かな欲望の夜 / John Lewis「Buster The Boxer」

毎年恒例、ジョン・ルイスのクリスマスCM。2016年は犬のBusterが主役クマ。トランポリンが欲しくて欲しくてたまらない。でもそれは少女Bridgetへのクリスマスプレゼントで、夜な夜な野生動物たちが庭で跳ねまくる様子をBusterはじっと見ているしかない。クリスマス当日、プレゼントを見た少女が駆け出すよりも早く、Busterが跳ねる。それだけの話クマ。

背景・課題

2015年の「Man on the Moon」は賛否両論の「泣かせる広告」で、John Lewisは2016年にユーモラス方向へ路線変更したクマ。Brexit・トランプ当選と2016年は厳しい年で、喜びをどう見つけるかが課題だった。クリスマス期間がJohn Lewisの年間利益の40%を生み出すため、このキャンペーンの成否はビジネス全体に直結するクマ。

ねらい・インサイト

「2016は本当にいろいろあった年だから、人々に笑顔を届けたい。楽しさと魔法を抱きしめて、完璧なギフトを贈る気持ちを思い出してもらう」とクライアントは語ったクマ。感動よりも、ユーモアと温かさ。泣かせるんじゃなくて、ニヤリとさせる。監督Dougal Wilsonは、思慮深い観察とペース配分でschmaltz(過剰な感傷)を回避したクマ。クマ自身は2015の感動路線が最高峰だと思ってるから、この2016は「ニヤニヤするけどそこまで」だったクマ。でもそれでいいんだと今は思うクマ。

アイデア

少女Bridgetはジャンプが大好き。両親はトランポリンをクリスマスプレゼントとして庭に隠す。夜、野生動物たち(キツネ2匹・アナグマ・リス・ハリネズミ)が出現してトランポリンで跳ねまくる様子を、Busterだけが見ている。クリスマス朝、Bridgetが庭に飛び出すより早く、Busterが駆け出してトランポリンで跳ね始める。動物たちと全てCGのトランポリンはMPCが制作。アナグマがトランポリンで跳ねる現実の参考映像がないため、筋肉・皮膚・重量と重力の相互作用を最先端リグで構築し、全て手付けアニメーションクマ。曲はVaultsによるカバー「One Day I'll Fly Away」で、Abbey Roadスタジオで70人の聖歌隊と66人のオーケストラと共に録音されたクマ。

展開・成果

2億4000万回視聴、公開前にTwitterトレンド入り、24時間でSkyダウンロード記録を更新、YouTube 2016クリスマス広告リストで1位。厳しい小売環境・激しい競争の中で、John Lewis史上最も効果的で収益性の高いクリスマスキャンペーンとなり、ROI £11で投資の10倍を回収したクマ。System1のテストで中立評価15%(最も entertaining)、5.9星(最高評価)を獲得。D&AD、The One Show Bronze、Clio Bronzeなどクラフト系賞を受賞。Snapchatレンズ・Twitter stickers・Oculus Rift VR体験など、John Lewis初のデジタル施策を多数展開クマ。Wildlife Trustsとパートナーシップを組み、ぬいぐるみ売上の10%を寄付。

余韻

感心したのはフィルムそのものより「受け皿としてのサイト」だったクマ。物語をバックストーリーとして膨らませて、劇中キャラクターのグッズを売る。ちっちゃなディズニーみたいな商法クマ。物語がしっかりしていると可能性は無限大で、次に何か作るときは絶対「何か売ろう」と心に決めたクマ。あと2017は感動路線に戻して欲しいと当時は切に願ったけど、今振り返ると2016のユーモアも必要だったんだなあと思うクマ。時代がそれを求めていた。広告は時代の空気を読むものクマ。

▎クレジット

広告主
John Lewis
代理店
adam&eveDDB
制作
MPCBlink
CD
Ben Priest
ECD
Richard BrimBen Tollett
CW
Ben Stilitz
AD
Colin Booth
監督
Dougal Wilson
音楽
Vaults (One Day I'll Fly Away cover)
Other
Ben Priest

▎タグ

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