VOLVO|LIFEPAINT|2015|イギリス
車が人を守るのではなく、人が人を守る塗料 / VOLVO「LIFEPAINT」
これ、本当に「広告」と呼んでいいのかわからなくなるクマ。プロダクトをつくって、配って、それが文化になっていく。そのプロセス全部がキャンペーン。2015年にカンヌで二冠を獲ったこの仕事を見ると、広告会社の仕事の輪郭が溶けていく感じがして、ワクワクが止まらないクマ。
▎背景・課題
Volvoの新型XC90に搭載された「Intellisafe」は、暗闇でも歩行者やサイクリストを検知して自動ブレーキをかける最先端の安全技術クマ。でも自動車業界では安全性がもはや当たり前の機能になっていて、新型SUV・XC90のローンチを控えたVolvoは、競合の中で埋もれていたクマ。Volvoは「車の中」ではなく「車の外」の安全にブランドの意味を広げようとしていた。イギリスでは年間19,000人以上のサイクリストが交通事故に巻き込まれているという現実があって、そこにVolvoが何をできるか、というのが起点クマ。
▎ねらい・インサイト
インスピレーションの源は意外なところにあった。フィンランドでトナカイ飼いたちがトナカイの角に反射物質をスプレーして車との衝突を防いでいるという記事クマ。それを見たVolvoとGrey Londonは、スウェーデンのスタートアップ・Albedo100と協力して、布地に使える反射スプレーを開発したクマ。「クライアントを広告するだけが仕事じゃない。文化にポジティブなインパクトを与えること。Volvoの安全を内側から外側へひっくり返して、最も脆弱な道路利用者に差し出した」とNils Leonard。車メーカーが自転車乗りを守る、この逆説こそが強度クマ。
▎アイデア
LIFEPAINTは布地に塗布できる透明な反射スプレーで、約1週間持続し、洗濯で落とせるクマ。昼間は不可視だが、夜間に車のヘッドライトを浴びると強く反射して光る仕組み。2015年4月、ロンドンの影響力のある6つの自転車ショップで2,000缶を配布したところ数時間で完売し、最初の1週間で20,000缶の追加注文が入ったクマ。Grey Londonは通勤者から事故サバイバーまで幅広いサイクリストへのインタビューを含むオンラインフィルムを制作し、ロンドンで3晩かけて撮影してヘッドライトの効果を再現。さらにLIFEPAINTを使った「見えないポスター」も制作し、スマホのフラッシュで初めてメッセージが浮かび上がる仕掛けも展開したクマ。
▎展開・成果
カンヌライオンズ2015でDesign部門とPromo & Activation部門の2つのグランプリを獲得クマ。メディア費ゼロで1億3000万のグローバルメディアインプレッションを獲得。LIFEPAINTに興味を持った人の中でVolvo車の購入意向が上昇し、LIFEPAINTの顧客が英国で推定298台、世界で1,013台のVolvo車を購入。75,000本以上の販売で投資を回収クマ。ロンドン市長室とBoris Bikesへの導入交渉も進んでいた。興味深いのは、これが広告予算ではなくディーラー予算から生まれたことクマ。ただし2017年、ASA(英国広告基準局)が、布地用と金属用で異なる製品を使った映像表現を「誤解を招く」として広告を禁止という後日譚もあるクマ。
▎余韻
広告会社が「プロダクト」をつくる時代クマ。それも、ブランドの本質から一本の線で繋がっているプロダクト。Volvoは1959年に3点式シートベルトを発明して特許を開放したブランドで、その思想がそのままLIFEPAINTに宿っているクマ。Nils Leonardが「これはTV広告を塗料の缶に置き換えようとしているわけじゃない。両方必要だ」と言っていたのが印象的で、つまり、広告の仕事の幅をどう定義するか、という問いクマ。2015年の時点でこれをやっていたGrey LondonとVolvoは、本当にすごいと思うクマ。クマも何かつくりたくなってきたクマ〜。