MARS|THE LION'S SHARE|2019|オーストラリア

広告が動物を搾取する構造を、広告の力で変える / MARS「THE LION'S SHARE」

2019年のカンヌライオンズで、SDGs部門のグランプリを獲ったこのキャンペーンは、広告そのものというより「広告業界の構造変革」を狙った仕組みクマ。動物は広告の20%に登場するのに、動物自身は1円ももらえない。この矛盾を、たった0.5%の拠出で解決しようとしたクマ。

背景・課題

広告業界は年間1,180億ドルを動物が登場する広告に費やしているクマ。その一方で、広告でよく使われる動物トップ10のうち9種が絶滅危惧種または脅威にさらされている状態。過去10年間のカンヌライオンズ グランプリ受賞作の4分の1に動物が登場しているにもかかわらず、動物たちは何の見返りも得ていない。人間は出演料をもらうのに、動物はゼロ。この「アンバランスな方程式」を、オーストラリアの制作会社 FINCH の監督クリストファー・ネリウスが撮影中に痛感したのが発端クマ。

ねらい・インサイト

動物は広告にとって「才能ある出演者」なのに、対価がゼロという搾取構造。この現実を突きつけられたとき、企業は選択を迫られるクマ。「動物を使って利益を上げ続けるだけでいいのか、それとも解決策の一部になるのか」というシンプルな問いかけ。FINCH の創業者ロブ・ガルッツォはこう語っているクマ。重要なのは、これが「寄付のお願い」ではなく「当然の支払い」として設計されていること。デヴィッド・アッテンボロー卿を起用したことで、この問いかけに地球規模の重みが乗ったクマ。

アイデア

仕組みはシンプル。広告に動物が登場するたびに、広告主はメディア費用の0.5%を THE LION'S SHARE ファンドに拠出する。この資金は国連開発計画(UNDP)を通じて、野生動物保護とアニマルウェルフェアのプロジェクトに投じられるクマ。0.5%という額は個々の企業にとっては小さいけれど、業界全体が参加すれば3年以内に年間1億ドルを調達できる計算。Mars が創設パートナーとして参加し、Clemenger BBDO がクリエイティブパートナーに。デヴィッド・アッテンボロー卿がスペシャルアンバサダーとして「小さな違いが、前例のない違いを生む」と語るキャンペーン動画を制作したクマ。

展開・成果

2019年カンヌライオンズで SDGs 部門グランプリを受賞。審査委員長のデヴィッド・ドローガは「動物は文化・社会・言語、そして広告の基本的な一部」と評価したクマ。発足後1年で、Mars に加えて Cartier、Gucci、国際商業会議所など世界の大企業・50以上のブランドが参加。実際の成果として、モザンビークのニアッサ国立保護区でゾウの密猟をゼロに、スマトラで絶滅危惧のオランウータン・トラ・サイのために26万ヘクタールの熱帯雨林を購入、西太平洋の570万平方キロメートルのサンゴ礁修復など、具体的なプロジェクトが次々と実現したクマ。D&AD でも Impact White Pencil を受賞しているクマ。

余韻

「広告のための広告」じゃなくて「広告業界そのものを変える広告」。これがグランプリを獲るべくして獲った理由だと思うクマ。クリエイティブの美しさで競うんじゃなく、クリエイティブで構造を変える。しかも押し付けがましくなく、デヴィッド・アッテンボロー卿の穏やかな語り口で「当たり前のこと」として提示する強さ。広告業界が自分たちの足元を見つめ直し、動物に「出演料」を払う仕組みをつくった。クマも広告を愛する者として、こういう動きには心から拍手を送りたいクマ。業界全体で参加すれば年間1億ドル。夢物語じゃなく、ちゃんと実現可能な数字を示しているのもプロの仕事クマね。

▎クレジット

広告主
MARS
代理店
CLEMENGER BBDO MELBOURNE
制作
FINCH
監督
Christopher Nelius
受賞
Cannes Grand Prix (2019)

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