P&G|Thank You, Mom – Best Job|2015|アメリカ

オリンピックのスポンサーは選手じゃなくてママだった / P&G「Thank You, Mom – Best Job」

2012年、ロンドン五輪。世界最大の舞台にP&Gが「Proud Sponsor of Moms(ママたちの誇り高きスポンサー)」という、誰も思いつかなかったポジションを持ち込んだクマ。選手でも、国でも、スポーツでもなく、ママ。この発想の強度がハンパないクマ。

▎シーン

オリンピックのスポンサーは選手じゃなくてママだった / P&G「Thank You, Mom – Best Job」 メインシーン
オリンピックのスポンサーは選手じゃなくてママだった / P&G「Thank You, Mom – Best Job」 シーン 2
オリンピックのスポンサーは選手じゃなくてママだった / P&G「Thank You, Mom – Best Job」 シーン 3
オリンピックのスポンサーは選手じゃなくてママだった / P&G「Thank You, Mom – Best Job」 シーン 4

背景・課題

P&Gは2012年にロンドン五輪の公式スポンサーになった。でも、P&Gと五輪の接続はふつうに考えたら見えにくいクマ。洗剤やおむつを作ってる企業が、なんでオリンピック? という問いに、真っ向から答える必要があったクマ。でも、すべての五輪選手には、ママがいる(いた)。そしてP&Gはママを愛してる。そこが接続点になった。当初はチームUSAの選手に焦点を当てる案だったけど、最終的にはメインターゲットである「ママ」にスポットライトを当てる方向に変更したクマ。企業として初めてのコーポレートキャンペーンだったこともあり、P&Gの全ブランド(Tide、Pampers、Gilletteなど)を統合するメッセージとして機能させる狙いもあったクマ。

ねらい・インサイト

Wieden+Kennedyは五輪選手とその母親にインタビューを重ね、早朝練習、経済的な犠牲、より良いコーチを求めての移住、ケガや挫折への揺るぎないサポートの物語を掘り起こしたクマ。そこに見えたのは「ママの仕事」という、誰もが知っているけど誰も言葉にしなかった普遍的な真実。「世界で一番大変な仕事が、世界で一番いい仕事」というコピーに、すべてが集約されているクマ。P&Gが売っている商品は「ママを助けるもの」だから、ママを祝福することは、ブランドの本質そのものだった。「オリンピックのオフィシャルスポンサー」と同時に「ママのオフィシャルスポンサー」というポジション開発は、まさにこのインサイトから生まれたクマ。

アイデア

監督はAlejandro González Iñárritu(『バベル』『ビューティフル』で知られ、後に『バードマン』『レヴェナント』でオスカーを2度受賞)。4大陸で撮影し、ロンドン、リオ、ロサンゼルス、北京の各地で地元の俳優とアスリートを起用したクマ。2分間のフィルム「Best Job」は、母親たちが子どもを朝起こし、文化ごとに異なる朝食を作り、練習場に送り、励まし続ける姿を映し出す。その支援は、子どもたちが競技レベルに達するまで決して衰えない。Ludovico Einaudiの美しい音楽と、幼少期から成人までの旅の描写が完璧にバランスしているクマ。VFXはThe Mill LAが担当し、CGで数千人のスタジアムの観客を作り出した。中国の水泳に取り組む親子の、娘が何事かを成し遂げた瞬間の、母の抑えた、ぐっと抑えた表情——あの瞬間、クマも涙をこらえられなかったクマ。

展開・成果

「Best Job」は7400万回以上再生された。P&Gは2012年ロンドン五輪期間中に5億ドルの売上増を記録した。カンヌライオンズでゴールド2つとシルバー3つ、2012年エミー賞プライムタイムCM部門も受賞。ゴールドEffie賞、2013年広告調査財団オグルヴィ賞のトップ、DGA(全米監督協会)のCM部門最優秀監督賞も獲得したクマ。2012年カンヌではFilm部門のグランプリも受賞、テレビ芸術科学アカデミーが発表した2012年プライムタイムエミー賞Outstanding Commercial部門でも受賞。キャンペーンへの接触により、P&Gの認知度が22%、好意度が13%、信頼度が10%向上した。そしてこのキャンペーンは2012、2014、2016、2018、2021と5回のオリンピックサイクルにわたって継続されたクマ。

余韻

この仕事の何がすごいって、商品を一切語らずにブランドの本質を刻んだことクマ。「Proud Sponsor of Moms」という一行に、P&Gの全ブランドが収まり、オリンピックとの接続も完成し、世界中のママが泣いたクマ。「兎にも角にも『ママは大変』という姿を子どもとスポーツ、そして成長のシーンに対して挿入しながら、最終的には『ママありがとう』に落とす見事な展開」——まさにその通りで、構造として完璧すぎるクマ。Iñárrituの演出、Einaudiの音楽、4大陸の撮影、すべてが一つの感情に収束していく。クマは今でもあの水泳の母親の表情を思い出すと泣けるクマ。ママ、ありがとうクマ。

▎クレジット

広告主
P&G
代理店
WIEDEN+KENNEDY PORTLAND
制作
The Mill LA (VFX)Anonymous Content (production)
CD
Susan HoffmanMark Fitzloff
CW
Kevin Jones
AD
Ollie Watson
監督
Alejandro González Iñárritu
音楽
Ludovico Einaudi

▎タグ

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