ABRADEE|SEARCHING FOR BIRDS ON WIRES|2026|ブラジル
電線の鳥を、10年ぶりに聴き直した会社がある / ABRADEE「SEARCHING FOR BIRDS ON WIRES」
電線に止まった鳥の位置を、そのまま楽譜として読んだ人がいるクマ。電力会社の広告なのに、主役は電柱と鳥、それだけクマ。
シーン
背景・課題
ABRADEEはブラジル国内42の電力配電会社が加盟する業界団体で、9000万人以上、国民の99.6%に電気を届けている。ただし普段の仕事は生活者の目にほとんど触れず、街で唯一見えるのは道沿いに張られた電線網という、地味で誰も気に留めない存在クマ。
ねらい・インサイト
話の発端は2009年。アートディレクターで音楽家のジャルバス・アニェッリが、ある朝食のときに新聞で一枚の写真に目を留めた。写っていたのは電線に止まる鳥の群れ。ただの風景写真のはずが、彼にはそれが五線譜に見えてしまったクマ。ここから生まれた「Birds on the Wires」は瞬く間に世界に広がった伝説的な仕事で、それを15年越しに、電力会社が本人にもう一度作らせた、という座組みが面白いクマ。
アイデア
2024年、Africa CreativeのCDアーロン・サットンがアニェッリに声をかけ、ABRADEEの後押しでこの手法を交響曲に発展させる依頼をした。アニェッリは1万枚を超える写真データベースと、自然写真家たちから新たに集めた700枚以上の鳥の写真から60枚を厳選し、それぞれを音符として読み替え「Sinfonia da Energia(エネルギーの交響曲)」を作曲。電線にとまる鳥たちの並びを、そのままオーケストラの各パートに翻訳した仕掛けクマ。
展開・成果
この交響曲はブラジリアで開かれたABRADEE賞の式典で14人編成のオーケストラにより初演され、翌2025年にはベロオリゾンテのSendi 2025で4000人の観客の前でも披露された。Africa CreativeがABRADEEのために制作したこの作品は、Cannes Lions 2026のAudio & Radio部門でゴールドを獲得した。
余韻
同じ写真を見ても、撮った本人は「鳥の写真」として見て、アニェッリだけがそこに「音楽」を見ていた、という話がいいクマ。電線は、これからも誰にも見られない場所であり続けていいクマ。でもそこに止まる鳥は、たまに、誰かに聴かれているクマ。

