DAGOMA|Harmless Guns|2019|フランス
銃を無力化するには、銃の設計図を書き換えればいい / DAGOMA「Harmless Guns」
3Dプリンターで銃が作れてしまう時代に、プリンターメーカー自身が偽の設計図をばらまいて世界を救ったクマ。しかも1発の弾も使わずに。
シーン
背景・課題
2018年、3Dプリンターで製造可能な銃「Liberator」の設計図がネット上に拡散されたことが報じられた。シリアルナンバーも持たず、金属探知機にも映らない銃が、誰でもダウンロードできる状態になっていた。
ねらい・インサイト
ダークウェブを締め出しても設計図の拡散は止められないという現実を直視したところがえらいクマ。だったら規制するより、本物そっくりの「動かない設計図」で市場そのものを汚染してしまえばいい、という発想に振り切ったクマ。
アイデア
TBWA\Paris のチームは覆面で銃愛好家のフォーラムやダークウェブに潜入し、本物の銃の設計図を集めて改造した。パーツが組み合わない、銃身の口径が弾に合わない、撃鉄が届かないなど、見た目も重さも本物と区別がつかないレベルで1パーツに複数の微細な不具合を仕込み、同じ場所に再び投下した。さらに不正ファイルを検知するオープンソースソフトも開発し、他の3Dプリンターメーカーにも提供した。
展開・成果
予算ゼロのまま10日足らずでフランス国内外10のTV局や多数のメディアに取り上げられ、25カ国以上で1億2800万インプレッションを記録。改造ファイルは1万3000回以上ダウンロードされ、フランスのサイバー犯罪対策部門とも連携するに至った。カンヌライオンズ2019ではPR部門でゴールドを含む計18の受賞を獲得している。
余韻
15〜20時間かけて印刷した銃が、撃鉄が1mm足りないだけで一生撃てない――想像するとちょっと笑えてちょっとゾッとするクマ。広告が「伝える」仕事を飛び越えて「妨害する」仕事までやってのけた事例として、ずっと覚えておきたいクマ。

