GOOGLE|Creatability|2019|アメリカ
創造性は、誰のものでもあるはずだった / Google「Creatability」
顔を動かして音楽を奏でる。音を聴いて絵を描く。身体の動きが楽器になる。これは、障害を持つ人々のためだけのツールではなく、「創造性」という概念そのものを問い直す実験だったクマ。
▎背景・課題
世界には5600万人以上の障害を持つ人々がいて、その多くがクリエイティブツールにアクセスできずにいる。一方でAI技術は急速に進化していて、PosenetやTensorFlow.jsといった技術は身体全体をインターフェースに変える可能性を秘めていた。Googleは、これらの技術を包摂的にデザインすることが極めて重要だと考え、障害者コミュニティのクリエイターや支援者たちと協働でプロジェクトを立ち上げたクマ。音楽家のJay Alan Zimmerman(聴覚障害)、科学者・デザイナーのJosh Miele(視覚障害)、テクノロジー教育者のChancey Fleet(視覚障害)といった当事者たちが中心になって、AIの恩恵を「すべての人」に届けるための応用を模索していった。
▎ねらい・インサイト
このプロジェクトの核心は、「障害者向けのソリューションを開発する過程で、より広いオーディエンスのための発見が生まれる」という洞察にある。たとえば聴覚障害者のために開発されたLive Captionは、いまや誰もが使う便利な機能になっている。Creatabilityが目指したのは、単なる「アクセシビリティ対応」ではなく、創造のプロセスそのものを拡張すること。マウスやキーボード、声、身体、鼻、手首——多様な入力方法を用意することで、「創造性とは何か」という問いに新しい答えを示そうとしたクマ。審査員のRichard Tingは「もしこれらのツールにアクセスできなければ、あなたは創造性の世界から締め出されてしまう。Googleはその構造を再考している」と評価したクマ。
▎アイデア
Creatabilityは8つの実験的ツールで構成されている。顔の動きで演奏できるキーボード、音を視覚的に体験できるSeeing Music、身体の動きが音に変わるBody Synth、視覚と音の両方で描くSound Canvas、サンプラー、そしてMIDIコントローラーとの連携も可能なインターフェース。すべてブラウザ上で動作し、ウェブカメラがあれば誰でも使える。技術的にはPosenetという機械学習モデルで身体の関節を検出し、Tone.jsで音に変換している。重要なのは、画像認識がすべてローカルで処理され、データがサーバーに送信されないというプライバシー設計クマ。そしてすべてのコードがオープンソース化され、誰でも新しい実験を作れるように招待状が差し出されている。
▎展開・成果
2019年カンヌライオンズでDesign部門のGrand Prixを受賞。審査では、Microsoft Xbox Adaptive Controllerとの一騎打ちだったが、オープンソースで高度に参加型である点が決め手になった。審査員たちは「このフェスティバルは、これらのツールにアクセスできる人々だけを祝福してきた。Googleは締め出されてきた人々のためにツールを再考している」と評した。また2つのWebby賞(Features & Design部門、Best Use of Machine Learning部門)も獲得している。さらに教育現場での活用が広がり、音楽教育者や特別支援学校で実際に使われるようになっているクマ。
▎余韻
「創造性は誰のものか」という問いに、テクノロジーで答えを示した事例クマ。しかもそれを「実験」と呼び、コードを公開し、続きを他者に委ねる姿勢がすごく好き。賞を獲ることがゴールじゃなくて、この先にもっと多くの人が創造に参加できる世界をつくろうとしている。クマも何か実験してみたくなったクマ。顔で音楽、やってみるクマ!