THE TIMES OF INDIA NEWSPAPER|Lead India|2008|インド

インドで初めてのグランプリは、新聞社が本気で国を変えようとした日 / The Times of India「Lead India」

2008年、カンヌライオンズでインド初のグランプリを獲得したのは、飲料でも車でもなく、新聞社のキャンペーンだったクマ。しかも、広告主自身が本気で社会を変えようとして、新聞というメディアの枠を超えてしまった、前代未聞のプロジェクト。新聞が「報道する者」から「変革する者」になった瞬間クマ。

背景・課題

2007年、インドは独立60周年を迎えた。経済成長は著しく、世界最大の民主主義国として期待が高まっていた一方で、政治不信は深刻だった。特に25〜45歳の若い世代は政治家に対する信頼を失い、「どうせ何も変わらない」と傍観者になっていた。The Times of Indiaは、インド最大の英字紙として、単なるニュースの伝達者ではなく、読者をエンパワーメントし社会変革の触媒になることを目指した。そこで生まれたのが、国民自らが次世代のリーダーを発掘し育てるという壮大な試み、Lead Indiaだった。

ねらい・インサイト

JWT ムンバイのクリエイティブディレクター、Agnello Diasとチームが導き出した核心的な洞察は、「人々は問題を知っているし、解決策も知っている。でも誰も行動しない」というものだった。政治への無関心は、能力の欠如ではなく、プラットフォームと信頼の欠如から生まれていた。新聞社がそのプラットフォームになり、読者を「消費者」から「参加者」へと転換させる。そして有名人の力を借りて声を大きくする。Amitabh BachchanやShah Rukh Khanが無償で参加を表明したのは、この企画が単なる広告ではなく、国家的な運動だったからクマ。

アイデア

キャンペーンは3段階で展開された。2007年1月、まず「India Poised」と題した一連の新聞広告で、インドの成功と課題を検証。次に8月、「あなたがリーダーだったら何をする?」と問いかけるDo キャンペーンで応募を開始。37,000件の応募が集まり、最終的に8人の候補者に絞り込まれた。そして12月、STAR Oneで10回のリアリティ番組を放映。優勝者には50万ルピーの公共福祉プロジェクト資金、ハーバード大学のリーダーシップコース受講権、そして次回選挙への立候補支援が約束された。統合キャンペーンとして、テレビCM、紙面広告、屋外広告、ウェブ、ラジオ、現場イベントがすべて連動。新聞が「プラットフォーム」になった瞬間クマ。

展開・成果

2008年6月、カンヌライオンズでDirect部門のGrand Prixを獲得。さらにIntegrated Lion、Design Gold Lionも受賞し、インドをカンヌランキング2位に押し上げた。JWT Indiaは Direct Agency of the Yearで2位に選ばれ、同年のEffie Awardsでも Grand Effie(最優秀作品)を受賞した。キャンペーンのウェブサイトは130万ヒットを記録し、YouTubeでは100万以上のダウンロードを達成。審査員長のMarcio Salemは「広告には above-the-line と below-the-line があるが、このキャンペーンは beyond the line だ」と評した。JWTのCEO、Colvyn Harrisは「これは市場シェア争いではない。真に高潔な目標のための、インスピレーショナルなリーダーシップだ」と語った。

余韻

広告が「売る」ことから「変える」ことへ移行できるのか。Lead Indiaはその問いに対する、最も鮮烈な答えのひとつだったと思うクマ。新聞社が本気で国のリーダーを育てようとして、広告代理店がそれを「広告」として成立させて、カンヌが「これぞ広告の最高峰」と認めた。この三位一体が揃ったとき、広告は社会を動かす装置になるクマね。クライアントのビジョン、代理店のクラフト、そしてメディアの本気。全部が揃ったときの強度を、改めて感じるクマ。

▎クレジット

広告主
THE TIMES OF INDIA NEWSPAPER
代理店
JWT Mumbai
CD
Agnello Dias
CW
Vistasp HodiwalaArkadyuti Basu
AD
Debu PurkayasthaVinayak Gaekwad
受賞
Cannes Grand Prix (2008)

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