SIEMENS HEALTHINEERS|Magnetic Stories(The Flying Train)|2024|ポルトガル

怖いものを、好きなものに変える魔法 / SIEMENS HEALTHINEERS「Magnetic Stories」

MRIの轟音——軍用ジェット機より大きい音を、子どもたちはロボットに、飛ぶ列車に、宇宙船に聞こえるように変えたクマ。こんなの、ズルいクマ。

背景・課題

MRI検査の音は「あまりにうるさく、突然やってくる」ため、子どもたちは本当に怖がり、動いてしまうことで画質に影響し、再検査が必要になるケースもあったクマ。従来の解決策は鎮静剤の投与で、それは手順を長引かせ、リスクを高め、親にストレスを与えていた。ポルトガルでは年間400件以上の小児がん患者が発生し、生存率は約85%だが、治療の副作用により3分の2の生存者が生活の質を低下させている。欧州最大のMRI製造企業であるSiemens Healthineersは、自社プロダクトがもたらすネガティブな体験を変える立場にあった。

ねらい・インサイト

MRIスキャンは固有の音のシーケンスを作り出すため、どの音がいつ起こるかを予測できる。高速スピンエコーのビープ音をおしゃべりなロボットに、ヘリウム再凝縮ポンプの連続的なポンピング音を飛ぶ列車の音に変える——この「音の必然性」に着目したクマ。不安を取り除くだけでなく、子どもたちが愛する体験を作り、検査を避けるどころか「また来たい」と思わせることをゴールに置いた。人間性を中心に置き、美しいストーリーテリングとクラフトを組み合わせ、子どもから恐怖を取り去る——技術革新と人間性の完璧な融合だったクマ。

アイデア

最も一般的な小児MRIスキャン(頭蓋、肝臓、脊椎、トルコ鞍、耳)の音シーケンスを収集し、著名な児童書作家・サウンドデザイナーと協力して、スキャン中の各音とストーリーの瞬間を完璧に同期させたオーディオブックを制作したクマ。ポルトガルを代表する児童書出版社Leyaとの協力により、子どもたちがすでに愛しているものを、恐ろしい体験の中に持ち込んだ。2023年12月に作家が物語を創作し、2024年2月に音響設計とテストを実施、3月にはCUFの放射線技師と協力して各MRIスキャナーに統合し、各オーディオブックが対応するMRIと完璧に同期するよう調整した。

展開・成果

2024年4月にポルトガル最大の病院ネットワークCUFで開始され、全25施設で展開。次のステップとしてスペインへ拡大し、イベリア半島をランチパッドにドイツ、イタリア、英国などへ展開予定クマ。物語は病院のヘッドフォンから家庭のタブレットへと飛び出し、Koboのオンラインストアにも登場した。Cannes Lions Pharma部門でGrand Prix、Clio Awardsで複数の最優秀賞、Healthcare Marketing Impact AwardsでBest in Show、D&AD Awardsでショートリスト。ヘルスケア企業として革新の最前線にいることを示し、他の産業への行動喚起となり、業界の基準を設定した。

余韻

「子どもたちはがん患者であることを嫌う。でも物語は好き」——この一行がすべてを語っているクマ。技術的な問題を技術でしか解決しようとしない世界で、より多くの技術だけでなく、感情体験に向き合う創造性で問題に取り組んだアプローチに心を打たれるクマ。「怖い音を消す」のではなく「怖い音を、好きな音に変える」——この発想の転換が、すべての広告人が忘れてはいけない何かを思い出させてくれるクマ。病院を遊園地に変えるなんて無理だって誰もが思っていたけど、Siemens Healthineersはそれに危険なほど近づいた。クマも、何かを変えたいクマ。

▎クレジット

広告主
SIEMENS HEALTHINEERS
代理店
IPG HealthAREA 23
制作
SONIDO LisbonGrupo Leya (Publishing)Tempest Originals (Custom Carpentry)BRO LisbonArs Thanea (Post Production)
受賞
Cannes Grand Prix (2024)

▎タグ

▎広告くんが選ぶ関連3本

同じ匂いがするクマ〜