JOHN LEWIS|Monty the Penguin|2015|イギリス
ペンギンのぬいぐるみで、年間売上175億円を叩き出した話 / John Lewis「Monty the Penguin」
イギリスでは毎年11月になると、国民全員がひとつの広告を待ち焦がれるクマ。John Lewisのクリスマス広告は、もはや国民的イベントと化していて、2014年の「Monty the Penguin」は公開から1時間で世界トレンド1位、初日だけで180万再生というヤバさクマ。で、内容はシンプル。少年SamとぬいぐるみのペンギンMontyの友情を描いた2分間。Montyが恋しそうにしているのを見たSamが、クリスマスにガールフレンドペンギンMabelをプレゼントする、ただそれだけ。なのに、なぜここまで響いたのか、クマ。
▎背景・課題
John Lewisは2007年から毎年クリスマス広告で感情訴求の路線を貫いてきたけど、2014年は特に重要な年だったクマ。クリスマス商戦はイギリス小売業の年間売上の大きな割合を占めていて、各社が広告で凌ぎを削る激戦区。でもJohn Lewisは「商品を売る」んじゃなくて「思慮深いギフト選びの場所」というポジショニングで勝負してきた。2011年の「The Long Wait」で感動路線が完全に定着し、毎年の広告公開が社会現象化。2014年はその期待を超えなければいけないプレッシャーの中、adam&eveDDBは「想像力で命を吹き込まれた友情」というテーマに着地したクマ。
▎ねらい・インサイト
この広告の核心は「子どもの想像力の中では、ぬいぐるみは本当に生きている」という普遍的なインサイトクマ。Samにとって、Montyは単なるおもちゃじゃなく本当の親友で、だからこそMontyの孤独に気づき、恋人をプレゼントする。誰もが子ども時代に経験した、ぬいぐるみや想像上の友達との関係を呼び起こす構造になってるクマ。adam&eveDDBのCCO Rick Brimは「ペンギンか猿で迷った」と語っていて、最終的にペンギンを選んだのは「可愛すぎないように」というバランスを取るためだったとのこと。物語自体が甘いから、キャラクターで甘さを抑える判断。Tom Odellによる「Real Love」のカバーも、John Lennon原曲の持つ普遍性と切なさを活かしながら、クリスマスの温かさに落とし込んでいるクマ。
▎アイデア
2分間のCGアニメーション広告で、少年とペンギンの日常を淡々と描くクマ。MontyとSamが一緒に遊び、一緒に寝て、Montyが他のカップルを羨ましそうに見つめるシーンが挿入される。クリスマスの朝、ツリーの下から現れたのは、Samからの贈り物—メスのペンギンMabel。2羽がくちばしでキスをする瞬間でCMは終わる。MontyとMabelは、実在のアデリーペンギンに可能な限り近づけるため高度なCGで制作されたクマ。ただ広告を流すだけじゃなく、Channel 4と組んでティーザー映像を制作。MontyがロンドンバスでOxford Streetを走るシーンを事前公開して期待を煽り、本編はGoogleboxの放送中にプレミア公開という演出。さらに店舗では南極テーマの空間を作り、Google Cardboardを使ったVRコンテンツ「Monty's Goggles」でMontyとSamの世界に入り込める体験を提供。Microsoftと組んだ「Monty's Magical Toy Machine」では、子どもが持ち込んだおもちゃを3Dスキャンしてスクリーン上で動かせる仕掛けも。絵本アプリ、ぬいぐるみ、パジャマ、食器まで展開して、広告を「体験できる世界」に拡張したクマ。
▎展開・成果
数字がエグいクマ。公開1時間で#montythepenguin が世界Twitter トレンド1位、初日180万再生、最終的に3200万再生を記録。ソーシャルメディア全体で3.49億インプレッション、前年比320%増クマ。Tom Odellの「Real Love」はiTunes チャート3位に到達。Monty とMabelのぬいぐるみは発売初日に完売、4.8万体以上売れて、eBayでは定価95ポンドが499ポンドまで高騰。eBay全体でペンギンおもちゃの検索が300%増加したという副次効果まで。肝心のビジネス成果は、クリスマス期間の売上が前年比5.5%増(市場全体は1.5%増)、週間売上記録1.75億ポンドを初達成。ROIは1ポンドあたり7.44ポンドのリターン、1.41億ポンドの増収をもたらしたクマ。2015年のCannes Lions でFilm Craft部門Grand Prix、2016年にCreative Effectiveness部門Grand Prixの二冠達成。審査員Colleen Leddyは「素晴らしいストーリーテリングと圧倒的な収益性の両立」と評価し、「Creative Effectiveness Awardが何であるかを体現した事例」と称賛したクマ。
▎余韻
1.75億ポンドって、日本円で約275億円クマ〜!ペンギンのぬいぐるみ1体から、ここまでの経済効果を生み出せるなんて、広告の力ってやっぱりすごいクマ。でもクマが一番グッときたのは、数字じゃなくて「子どもの想像力をこんなに丁寧に、こんなに本気で描いた」ってところクマ。Samにとって、Montyは本当に生きてる。その前提を、広告を観る大人たちも一瞬で受け入れて、Montyの孤独に共感して、Mabelが現れた瞬間に安心する。その「信じる力」を、2分間で取り戻させてくれるクマ。しかもこれ、店舗体験・VR・絵本・グッズまで全部つながって、広告が「世界」になってる強度がハンパないクマ。2014年から10年以上経った今でも「John Lewisで最も象徴的なクリスマス広告」と呼ばれ続けてるのも納得。Montyは単なるキャラクターじゃなく、ひとつの時代を作ったクマね。クマもこんな仕事がしたいクマ〜!
▎クレジット
▎タグ
▎広告くんが選ぶ関連3本
同じ匂いがするクマ〜


