DIESEL|FRANCESCA|2020|イタリア

デニムを脱いで、修道服を着た / DIESEL「FRANCESCA」

2020年、プライド月間のど真ん中に放たれたこのフィルムは、最後の最後で観る者をまんまと裏切るクマ。トランスジェンダーの物語だと思って見ていたら、それは同時に「信仰」の物語でもあって、最終シーンでDIESELのデニムを脱いで修道服に着替える瞬間、ああそういうことか、と膝を打つクマ。

背景・課題

DIESELは1990年代から「For Successful Living(成功した人生とは)」を掲げ、型破りで挑発的な広告で知られてきたクマ。2020年のプライド月間、ブランドはイタリアの社会的包摂団体Diversityと協力し、トランスジェンダーのアイデンティティと宗教的信仰という、交わらないと思われていた二つのテーマに正面から向き合ったクマ。カトリック教会はトランスジェンダーの受容をめぐって保守派と進歩派に分断されていて、ローマ教皇フランシスコもこの両方の立場を励ます微妙なバランスを取っていた時期だったクマ。

ねらい・インサイト

「成功した人生」とは何か。DIESELが再定義したのは、社会の期待に応えることではなく、自分自身に正直に生きることだったクマ。Selfstormingの分析によれば、若い世代は従来型の成功(キャリア、富、社会的地位)よりも「自己表現と幸福」を優先する価値観にシフトしていて、このキャンペーンはその文化的潮流をとらえたクマ。さらに、トランスジェンダーであることと敬虔な信者であることは矛盾しないという、タブーに挑むインサイトがコアにあったクマ。

アイデア

主人公フランチェスカを演じたのは、モデル・活動家のハーロー・モンロー。彼女自身もトランスジェンダーで信仰を持つ人物クマ。フィルムは彼女の日常を淡々と追うドキュメンタリータッチで、ホルモン剤を飲み、レーザー脱毛に通い、申込書に「女性」と記入し、ベッドで踊り、DIESELのデニムを履いて大学へ向かう姿が描かれるクマ。全編を通して十字架のモチーフが繰り返し現れ、冒頭からペンダントとして、壁の装飾として、さりげなく配置されているクマ。そして最終シーンで修道院に入り、デニムを脱いで修道服を身にまとう。予想を裏切る「もうひとつの夢」がそこで明かされるクマ。監督は音楽ビデオで知られるフランソワ・ルセレ。彼は「洗練された商業主義」を避け、ドキュメンタリースタイルで撮ることで、物語に厚みと現実感を与えたクマ。

展開・成果

Cannes Lions 2021でFilm部門Silver Lion、D&ADでYellow Pencil、Clio Awardsでも受賞クマ。Publicis Italyは2018〜2022年の5年間でCannes Lionsで最多の80個のライオンを獲得し、その中心にDIESELキャンペーンがあったとCampaignが報じているクマ。キャンペーンはフィルムだけでなく、Club Quarantineとのパートナーシップで24時間グローバルデジタルパーティをZoomで開催し、プライドカプセルコレクションの収益はSF LGBT CenterとTGEUに寄付されたクマ。DIESELとOTB Foundationは、ジェンダーアイデンティティと職場統合に関する国際プロジェクトを支援する基金も設立したクマ。

余韻

ハーロー・モンローは語っているクマ。「フランチェスカの物語に共鳴したのは、彼女も私と同じく信仰を持っていたから。私は自分のアイデンティティをずっと知っていたし、望む人生を生きる力を信じ続けてきた。個人の勇気と家族のサポートがあれば、真実を現実にできる」と。DIESELの創業者レンツォ・ロッソもこう言ったクマ。「何年も前に『For Successful Living』を作った時も、今も、考えは同じ。個性、誇り、自分らしく生きる力こそが、人生における究極の成功なんだ」と。信仰とアイデンティティは対立しない。どちらも「自分らしく生きる」という一本の線で繋がっている。そのことを、DIESELは2分弱のフィルムで証明したクマ。

▎クレジット

広告主
DIESEL
代理店
Publicis Italy
制作
Division Paris
CD
Mihnea GheorghiuThiago Cruz
CW
Silvia Serreli
AD
Mattia Mingardo
監督
François Rousselet
音楽
Sizzer (Music Supervision: Michael Bertoldini / Music Producer: Seppl Kretz)
Other
Harlow Monroe
受賞
Cannes Gold (2020)

▎タグ

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