LEVI STRAUSS|Odyssey|2002|イギリス
広告に見えないものを、どう広告にするか / Levi's「Odyssey」
ドアを開けた青年が、壁を突き破って走り出す。それだけのCMに、6ヶ月とおよそ2.5億円がかかったクマ。説明は一切ないのに、走る理由が伝わってくるクマ。
シーン
背景・課題
2002年当時、リーバイスは中年男性のブランドというイメージがついてしまい、若者から敬遠されていた。BBHはそのイメージを覆す仕事を任された。前年の「Twist」に続く、Engineered Jeansというラインの第二弾という位置づけだったクマ。
ねらい・インサイト
何かを「履いて動く」良さを語るのに、商品を映す必要はないかもしれない、というのがこの企画の賭けだったクマ。走る、壁を破る、その衝動そのものを映像にすれば、ジーンズの自由さは言葉より強く伝わるはずクマ。曲に当時まだ若者向けの定番でなかったヘンデルを選んだのも、ロックに媚びないという同じ賭けの延長線上にあるクマ。
アイデア
若い男が扉を開け、後ずさりしてから走り出す。扉を突き破り、次の部屋の壁を突き破り、その次も。やがてもう一人の女性ランナーが加わり、二人は息を切らして立ち止まる。監督ジョナサン・グレイザーは実写の特殊効果と当時最先端のCGを組み合わせ、俳優二人に実在する16枚の壁へ全力疾走させた。最後に流れるのはたった一言、「Freedom to move」。
展開・成果
BBHのクリエイティブディレクターによれば、このキャンペーンのあと売上は大きく伸び、特に15〜25歳の層に浸透し、同社史上もっとも早いペースで100万本を売り上げたという。カンヌライオンズ2002フィルム部門ゴールドをはじめ、One Show、D&ADなど各賞を受賞した。
余韻
撮影があまりに過酷で、現場は仕上げにたどり着くのもやっとだったと制作側が振り返っているクマ。ジーンズの広告なのにジーンズがほとんど見えてこない、それでも「自由に動ける」ことがこれ以上なく伝わってくるクマ。商品を見せなくても商品の話ができる、そういう広告があるんだなと思わせてくれる一本クマ。


