TRANSPORT ACCIDENT COMMISSION|Ungiven Gifts|2014|オーストラリア
209個の、渡されなかったプレゼント / Transport Accident Commission「Ungiven Gifts」
209個の真っ白なプレゼントが、静かに並んでいる。おもちゃ、ハンドバッグ、花瓶、スカーフ。それぞれに手書きのタグがついている。クリスマス前のメルボルンの街に現れたこのインスタレーションは、見た人の足を止め、静かに何かを問いかけるクマ。
▎背景・課題
2013年、ビクトリア州では209人が交通事故で命を落としたクマ。オーストラリア・ビクトリア州の交通事故保険機関である Transport Accident Commission(TAC)は、州の交通安全広告のほとんどを担っている。危険運転がもたらす個人的な犠牲を、感情的かつ教育的なテーマで訴えることで知られているクマ。クリスマスというタイミングは、家族や友人が集まる季節であるがゆえに、喪失がいっそう際立つ。交通事故で愛する人を失った後のクリスマスに向き合う心の痛みに焦点を当てることが、このキャンペーンの出発点だったクマ。
▎ねらい・インサイト
数字を物理的な表現に置き換えることで、統計をリアルな重みに変える手法。これは昔からある手法だけれど、「Ungiven Gifts」はシンプルで雄弁で、深く突き刺さるクマ。それぞれのアイテムが「渡されなかったギフト」を象徴し、ビクトリア州の道路で亡くなった一人ひとりに対応している。「それぞれの贈り物の背後には、失われた命と、もう二度と同じクリスマスを迎えられない愛する人たちの、心が張り裂けるような物語がある」という言葉が、このキャンペーンのコアにあるクマ。変化したのは、亡くなった人だけじゃなく、残された人たちの人生も、ということをハイライトしているクマ。
▎アイデア
メルボルン中心部の State Library 前庭に、209個の贈り物が展示された。すべてのアイテムは白く塗られ、手書きのギフトタグがつけられたクマ。小さな台座が格子状に整然と並べられ、その上におもちゃ、ハンドバッグ、花瓶、スカーフといったさまざまな贈り物が置かれた。白く塗られた物体は、まるで時間が止まったかのように、そこに存在しているクマ。訪れた人々はクリスマスツリーに安全運転へのコミットメントや、亡くなった愛する人への追悼メッセージを残すことができた。何百もの写真、メッセージが #ungivengifts に寄せられたクマ。
▎展開・成果
インスタレーションは水曜日まで State Library 前庭に設置された。この「Ungiven Gifts」は、2014年の Cannes Lions において、Promo and Activation 部門で Gold Lion を受賞した唯一のオーストラリアキャンペーンとなったクマ。クリスマスに道路で注意するよう、鈍く、率直に思い出させる役割を果たした。TAC は前年にも、同様にメルボルンで「クリスマスのディナーテーブルにどれだけの空席があるか」をハイライトする施策を展開していたクマ。一貫したメッセージ。
▎余韻
広告が、悲しみに寄り添う方法。クマは、この白い贈り物たちが語る「空白」に、胸を打たれるクマ。派手な演出も、大きな音楽もない。ただ、209個の静かなプレゼントが、そこにある。それだけで、十分すぎるほど伝わってくるクマ。誰かの笑顔のために選ばれたであろうおもちゃ。誰かに似合うと思って選ばれたであろうスカーフ。それが「渡されなかった」という事実の重さ。クマも、誰かに何かを渡せる日々を、大切にしたいと思うクマ。
▎クレジット
▎タグ
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