I AM OTHER|CASH IN CASH OUT|2023|イギリス
粘土人形に見えた3人は、一度も撮影されていない
粘土のパペットに見えるプラレル・ウィリアムズ、21サベージ、タイラー・ザ・クリエイターは、1秒たりとも撮影されていないクマ。全部CG。しかも「撮れない」から生まれた発想クマ。
シーン
背景・課題
きっかけは2020年のパンデミック。ライブアクションの撮影が全面的に止まった時期に、監督フランソワ・ルーセレは「何か特別なもの」を作る必要があった。選んだのは、人を一切撮らずに済む、フルCGというアプローチだった。
ねらい・インサイト
ルーセレが目をつけたのは、曲そのものが持つ「反復」の構造クマ。この反復をゾートロープ(回転のぞき見装置)という19世紀の古典的な仕掛けに乗せ、ラップ的にひねる、というのが発想の核クマ。本物らしく見せつつ「本当に撮ったのか?」と観る人に疑わせたかった、という狙いもあったクマ。
アイデア
プラレル、タイラー、21サベージをモデルにした3Dキャラクターが、延々と回り続けるCGゾートロープの上で、金と高級車だらけの世界をサウンターする。顔は3Dプリンターから出てきたような低解像度の質感、服にはわざわざ指紋のモデリング、車はホットウィールのダイキャストみたいに作り込み、動きもあえて12フレーム/秒の「完璧じゃないコマ撮り感」を再現している。ETCいわく、作り込みは「本当にこの通りの機械を物理的に組み立てられるレベル」だったという。
展開・成果
2020年に企画が動き出し、完成まで約2年。2022年リリース後、UK Music Video Awards 2022でVideo of the Yearなど4部門を受賞。2023年にはCannes LionsのFilm CraftとEntertainment for Musicの両部門でGoldを獲得したクマ。
余韻
撮れないから撮った風に作る、という発想の転換がそのまま一本のミュージックビデオになっているクマ。制約がアイデアの核になる瞬間を見るのが、クマはいちばん好きクマ。

