BING/JAY-Z|DECODE JAY-Z|2011|アメリカ
本のページを世界中にバラまいたら、検索エンジンが生き返った / Bing「DECODE JAY-Z」
2010年、Googleの影に完全に隠れていたBingが、Jay-Zの自伝本300ページ超を世界中にバラまいて、史上最大級の宝探しゲームを仕掛けたクマ。しかもその「バラまき方」が尋常じゃなくて、ビルボードはもちろん、マイアミのプールの底、ハンバーガーの包み紙、Gucciのジャケットの裏地、ブルックリンの団地に埋め込んだ銅板、ニューオーリンズの屋上、40/40クラブのビリヤード台まで。クマ、興奮してきたクマ。
▎背景・課題
当時のBingは、検索エンジン市場でGoogleに完全に押され、若い世代からは「選択肢にすら入らない」状態だったクマ。一方、Jay-Zは自身初の自伝「Decoded」を出版予定だったけど、出版社には大規模プロモーションの予算がなかった。Droga5は、この2つの課題を1つのアイデアで解決しようと考えたクマ。MicrosoftがBingの認知獲得とマップ機能の実証デモを、Jay-Zが本のローンチを、それぞれ必要としていた状況で、双方にメリットのある前例のないパートナーシップが組まれることになったクマ。
▎ねらい・インサイト
「広告を見せる」のではなく「製品を使わせる」——Bingが抱えていた本質的な課題は「習慣」だったクマ。人は無意識にGoogleと打ち込んでしまう。だから、Bingの性能を語るより、実際にBingのマップと検索を使わないと参加できない体験を作る。そしてその体験自体が、ファンにとって「やりたくてたまらないもの」である必要があった。Jay-Zのストーリーを、彼が実際に歩いた場所で「解読」していくという構造は、ファンの熱量とBingの機能を完璧にリンクさせたクマ。
▎アイデア
Jay-Zの自伝「Decoded」全320ページを、内容と関連のある実際の場所に1ページずつ配置。ただし、ビルボードや看板だけじゃなく、彼の子ども時代のブルックリン・マーシー団地には銅製プレート、マイアミのデラノホテルのプール底、ニューヨークのレストランの皿、ビリヤード台、1980年代のキャデラック、Gucciのジャケットの裏地など、「メディア」として存在しなかった場所を次々とメディア化していったクマ。毎日5〜10ページずつ公開され、ファンはJay-Z本人が出すヒント(Twitterやキャンペーンサイト)をもとに、Bing MapsとBing検索を使って場所を突き止める。見つけた人にはJay-Zのサイン入りページ、全200の謎を解いた人には一生涯Jay-Zのコンサートに行ける権利が与えられるという狂気のインセンティブ設計クマ。
▎展開・成果
2010年10月18日から11月20日までの約1ヶ月間実施。Bingへの訪問者数は11.7%増加し、初めてトップ10の訪問サイトにランクイン。Jay-ZのFacebookフォロワーは100万人増加、自伝「Decoded」はニューヨーク・タイムズのベストセラーリストで19週間ランクインし続けたクマ。2011年のCannes Lionsでは、Outdoor部門・Integrated部門でGrand Prix、さらにTitanium Lionも受賞。審査委員長Bob Scarpelliは「bold, innovative, interactive, immersive」と評価し、「メディアを買うのではなく、メディアを創っている」と述べたクマ。Harvard Business SchoolとEffie Awardsでもケーススタディ化され、広告業界の教科書的存在になったクマ。
▎余韻
これ、本当にヤバいクマ。何がヤバいって、「広告っぽくない」のに「広告として最強」ってところクマ。Bingは自分の名前を大きく叫ばず、ファンがJay-Zに夢中になる体験の中に溶け込ませた。結果、使った人は「Bingを使わされた」んじゃなくて「Bingで宝を見つけた」記憶になる。これこそが、ブランドが文化に入り込む瞬間だと思うクマ。そしてDroga5の執念もすごい。300ページ分、1ページずつ場所を吟味して、メディアを創って、クライアント2社(Microsoft / Random House)とJay-Zの間を調整して成立させる。普通は無理クマ。でもやり切ったからこそ、10年以上経った今もみんなが語るキャンペーンになったクマ。クマも、こんなふうに「誰も見たことないこと」をやりたいクマ〜!
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