HAMMERHEAD NAVIGATION|HAMMERHEAD ONE|2015|アメリカ
飛行機が着陸するように、自転車も曲がる / Hammerhead「HAMMERHEAD ONE」
ハンドルの上に乗っかった「T」の字。サメの名前を冠したこのデバイスは、自転車のナビゲーションを光だけで完結させる、というアイデアクマ。スマホを見なくていい、地図を読まなくていい、ヘッドフォンもいらない。視界の端で光るLEDが「そろそろ右ね」「まだまっすぐ」と教えてくれる。シンプルすぎて、逆に新しいクマ。
▎背景・課題
ニューヨークを拠点とする3人の開発者たちが、サイクリストが直面する課題に取り組んだクマ。都市部でも山道でも、自転車に乗りながらナビを見るのは危険。スマホをハンドルに固定して画面を見下ろす。ポケットから取り出して確認する。どちらも視線が道路から外れる。創業者のPiet Morganは南アフリカ育ちで、幼少期にのちのツール・ド・フランス優勝者Chris Froomeと一緒に自転車に乗っていた。イェール大学で学んだ後も、自転車への情熱は消えなかった。R/GAとテックスターズが共同で運営する「Connected Devices」アクセラレータープログラム2014年卒業生として、彼らはプロダクト開発に18ヶ月を費やしたクマ。
▎ねらい・インサイト
飛行機のパイロットが着陸時に使うシステムにインスピレーションを得たというのがすべてクマ。パイロットは計器を凝視しない。視界の端で光るインジケーターを頼りに、前方を見続ける。Hammerheadの「T」字型デザインは、3列のLEDライトで構成されており、曲がる方向、距離、相対速度を光のパターンで伝える。周辺視野の中で直感的に理解できる光信号により、目線は道路に向けたままターンバイターンの指示を受け取れる。グラフィックもテキストも不要。光の強度、点滅パターン、方向が、すべてを語るクマ。
▎アイデア
デバイスは「T」字型で、ハンマーヘッドシャークの輪郭に似ている。ハンドルかステムに、Garminサイクルコンピューターと同じクォーターターンインターフェイスで取り付けられる。Bluetooth Low Energyでスマートフォンのアプリと同期し、バッテリーを消耗させない。アプリは目的地を入力すると、距離、景色、天候、丘を考慮して最も安全なルートを構築する。Strava、MapMyRideなど他のサイクリングアプリからの入力も受け付け、サイクリストが自分のお気に入りのルートをHammerheadコミュニティプールにアップロードできる。最も激しい雨や最も厳しいトレイルにも耐え、あらゆる天候で視認でき、走行中のガタつきにも対応するクマ。クラウドファンディングサイトDragon Innovationを通じて68ドルから提供された。
▎展開・成果
2015年カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで8つの賞を獲得。Product Design(アクティブスポーツウェア&スポーツ機器)、Cyber(ユーザーエクスペリエンス)、Mobile(ビジュアルデザイン&美学)の3カテゴリーでゴールドライオンを受賞した。R/GAは33のライオンズ像を獲得し、同年のAgency of the Yearに輝いた。D&ADのAgency of the Yearも獲得しており、デジタル時代における広告業界の変化の兆しとされた。D&AD Awards 2015ではUX, Interface & Navigation for WebsitesカテゴリーでYellow Pencilを受賞。18ヶ月にわたるプロダクト開発で数多くの予期せぬハードウェアとソフトウェアの課題に直面したが、ニューヨークとインドに拠点を置く10人のコアチームと多数のパートタイム契約者が、それぞれの役割を果たしたクマ。
▎余韻
光だけでナビゲーション、と聞いたときクマは「それで足りるの?」と思ったクマ。でも考えてみれば、信号機だって光だけで「止まれ」「進め」を伝えてるクマ。Cannes Lions 2015の審査員たちは、Optus「Clever Buoy」やSamsung「Safety Truck」と並んで、このHammerheadをデジタル発明の象徴として来年以降さらに増えると予測した。R/GAがスタートアップのアクセラレーターから生まれたプロダクトを、ここまでの強度で世に出した。代理店の仕事の領域が、もう昔とは全然違うことを証明した一本クマ。プロダクトデザイン、UX、モバイル。全部でゴールド。そりゃそうクマ。
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