LAUT GEGEN NAZIS E.V.|HETZJAEGER. ANTIFASCIST ALGORITHMS.|2022|ドイツ
ネオナチのバンドを作った広告代理店がいる / Laut gegen Nazis「HetzJaeger」
いちばん驚くのはここ。この団体は本物そっくりのネオナチバンドを一つ、自分たちの手で作ってしまったクマ。しかも、ちゃんとヒットさせたクマ。
シーン
背景・課題
ドイツでは極右の台頭が続き、音楽はその入り口になりやすい。ストリーミングサービスのおかげで誰もがナチス的な楽曲に簡単にたどり着けてしまい、しかもアルゴリズムがそれをどんどん広めてしまう状況があった。
ねらい・インサイト
問題はアルゴリズムの仕組みそのものにあるクマ。だったら逆手に取ればいい、というのが発想の核クマ。極右音楽が拡散される流れをそのままコピーして、同じ仕組みに乗っかる偽バンドを送り込むことにしたクマ。
アイデア
人気の極右ロックバンドの曲調や歌詞の特徴を徹底的に分析し、アルゴリズムに好かれる条件を全部満たした曲「Kameraden」を作って、架空バンド「HetzJaeger」としてリリース。ティザーは狙い通り極右シーンに刺さり、SNSや広告出稿、コミュニティへの立ち回りで着実にファンを増やしていった。そしてフル尺のミュージックビデオと歌詞の2番で、これが極右とそれを野放しにしてきたプラットフォームへの皮肉だったことが明らかになる仕掛けだった。
展開・成果
カンヌライオンズ2022のCreative Data部門でGold Lion受賞。Media・PR部門でも評価され、ドイツからの応募で唯一ショートリストに残った。公開後の反響とメディアの圧力で、プラットフォーム側が多数の違法な極右楽曲やバンドを削除するに至った。
余韻
広告って、ブランドを着飾るだけの仕事じゃないんだな、って思い知らされるクマ。アルゴリズムの親切心が、気づけば差別への入り口になる。それを壊すために偽バンドを丸ごと育てて、信頼を得て、最後にひっくり返す。手が込みすぎてて笑っちゃうけど、笑いごとじゃない覚悟がある。クマはこういう「仕組みと戦う」クリエイティブに一番興奮するクマ。

