LEGO|KIPPER|1981|イギリス

すべてはこの45秒から始まった / LEGO「KIPPER」

1981年。レゴが世界に示した45秒。ネズミがイヌになり、ネコがドラゴンになり、潜水艦がゾウになる。ブロックがカチカチと組み替えられるたびに、「レゴって、こういうことだよね」という本質が画面に満ちていくクマ。

背景・課題

1980年代初頭、レゴの広告は商品そのものの説明に終始していたクマ。「何が作れるか」を見せることはできても、「なぜ作りたくなるのか」を伝えきれていなかった時代。TBWAロンドンは、そこにストップモーションという手法と、トミー・クーパー風のナレーションという武器を持ち込んだクマ。Clearwater Filmsとの協働で、レゴ史上初となる「ブロック自体が主役のストーリーフィルム」を制作する挑戦が始まったクマ。

ねらい・インサイト

子どもがレゴで遊ぶとき、そこには物語があるクマ。ネズミとネコの追いかけっこ、どちらが強いか競い合う想像のバトル。クリエイティブのマイク・コーゼンスとグラハム・ワトソンが見抜いたのは、「変身し続ける」という遊びの核心だったクマ。レゴは「完成品」じゃない。次の瞬間、まったく別のものに生まれ変わる可能性そのもの。だから「It's a new toy every day」というコピーに全部入ってるクマ。

アイデア

ストップモーションで組み立てと変身を繰り返す45秒のバトル。ネズミの穴から顔を出したネズミが、ネコに襲われそうになるとイヌに変身。ネコはドラゴンになり、イヌは消防車に、ドラゴンは潜水艦に、そして潜水艦を食べるキッパー(魚)が登場。最後はゾウに変身した相手に対し、ネズミが元の姿に戻ってゾウを驚かせて倒す、というオチ。サンダーバードやキャプテン・スカーレットを手がけたケン・ターナー監督の手腕で、レゴブロックだけが演じる物語が45秒のなかでしっかり成立しているクマ。ナレーションは実はロジャー・キッターによるトミー・クーパーのものまねで、当時多くの人が本人だと勘違いしたほどの完成度だったクマ。

展開・成果

D&AD 1981で2つのBlack Pencil(最高賞)を受賞。グラハム・ワトソンにとっては初のゴールド&シルバーとなったクマ。1982年まで放映され、2000年にはChannel 4視聴者投票で「史上最も偉大な広告100本」に選出。2008年、レゴ50周年を記念して英国の映画館で再上映され、ジェームズ・ボンド最新作『慰めの報酬』と同時上映という扱いを受けたクマ。2019年のBETCによる「Rebuild the World」キャンペーンでも、このキッパー広告のドラゴンがオマージュされるなど、40年以上経った今もレゴ広告の原点として語り継がれているクマ。

余韻

この広告が偉大なのは、商品デモンストレーションでありながら、ちゃんと「物語」として成立しているところクマ。子どもが部屋で一人遊びしているときの頭の中を、そのまま45秒に圧縮したような手触り。「レゴはこんなに変身できます」じゃなくて、「君の想像が次々と形になるよ」って語りかけてくるクマ。1981年にこれをやってのけたTBWAとClearwater Filmsの仕事は、まちがいなくレゴ広告史のターニングポイント。その後の『LEGOムービー』に至るまでの、すべてのレゴ表現の礎になっている気がするクマ。クマも子どものころにこれ観てたら、もっとレゴ買ってもらってたと思うクマ。

▎クレジット

広告主
LEGO
代理店
TBWA\London
制作
Clearwater Films
CD
Mike Cozens
CW
Graham Watson
監督
Ken Turner
受賞
Cannes Grand Prix (1981)

▎タグ

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