NIKE|TAG (Play campaign)|2002|アメリカ

街全体が鬼ごっこに巻き込まれる、その光景 / NIKE「TAG」

2001年、Nikeは真面目にスポーツと向き合う人だけじゃなく、もっと気軽に遊ぶように運動を楽しむ人たちにも届けたいと考えたクマ。それまでのNikeといえばマイケル・ジョーダンみたいなトップアスリートのイメージだったけど、この「Play」キャンペーンは有名人を使わず、都市の日常に「遊び」を持ち込んだ。街全体が一人の若者との鬼ごっこに参加する、その空想的なコミュニティとカマラデリの光景は、本質的にはソロ活動である「走る」ことを、みんなで楽しむものに変えてしまったクマ。

背景・課題

2001年当時、Nikeのアメリカでの売上は最大のライバルReebokの3倍だった。しかしReebokは新しいRBKラインをアレン・アイバーソンやミッシー・エリオットといったセレブで攻め込み、さらにNBAとの10年契約も獲得していた。AdidasやNew Balanceも市場を侵食していたクマ。Nikeのキャンペーンは真剣にスポーツに取り組む人格により強く訴えかける傾向があった。そこでWieden+KennedyはDan Wieden自らとクリエイティブディレクターHal Curtisが直接監督する5人チームで「Play」キャンペーンを立ち上げた。4本すべてが都市環境を舞台にし、非スポーツ文脈での気軽で楽しい競争の側面を強調し、有名人を使わなかったクマ。

ねらい・インサイト

コピーライターのMike Byrneによれば、TAGはPBSの「遊び」についてのドキュメンタリーと、空港で遊ぶ少女との出会いに着想を得たという。大人になると忘れてしまう「遊び心」。真剣さや成果を求めるスポーツではなく、ただ走ること、追いかけること、逃げることの純粋な楽しさ。人生は真面目すぎるには短すぎる。周りの堅苦しい「大人たち」が何を思うか、誰が気にするだろう? 遊べ、どんなゲームでもクマ。カンヌの審査員Paul Briginshawは「これはNikeにとって非常に賢い新しい方向性だった。プロスポーツを超えて進んだ。Wieden+Kennedyの誰かがとても賢く『これを遊びに持ち込もう』と言ったんだ」と語ったクマ。

アイデア

TAGの広告は、都市の中で大人たちが鬼ごっこをする様子をテクノサウンドトラックに乗せて描き、シンプルに「Play」というタグラインで締めくくった。Frank Budgenが監督したクマ。現代の大都市の喧騒から始まり、地下鉄駅に追い詰められた人々が電車に詰め込まれ、鬼が必死にドアに腕を挟もうとするが届かず、諦めて電車の横を悠然と歩くと、乗り遅れた一人の逃げ遅れを発見し、追いかけが続く。最後にswooshと「Play」のタグラインが重なる。街全体が、不注意でタッチされてしまった若者から逃げ回っているクマ。鳩まで逃げてるクマ! 広告コミュニティ内での反応は概ね好意的で、The GuardianのStefano Hatfieldは「完璧なタイミングで美しく演出されたテレビCM」、Advertising AgeのBob Garfieldは「構想、振り付け、ウィットに富んだ感性において息をのむような、そして極めて複雑な制作の下に潜むシンプルさにおいて」と評したクマ。

展開・成果

CMは2001年6月25日にアメリカのテレビで初放映され、その年のレイバーデー(9月3日)まで放映された。Shaderunner、Tailgating、Racingという3本の追加CM映像が同時に展開されたクマ。さらに主要都市の路上での公開イベントや、セレブが出席するNiketownでの招待制パーティーなど、大規模なオフライン施策も展開された。TAGとそのキャンペーンは批評的に大成功を収め、広告・テレビ業界から数十の賞を獲得し、カンヌライオンズ国際広告祭でグランプリを受賞したクマ。これはNikeが4年間で2度目にカンヌでグランプリを獲得したことを意味した。Shaderunnerはゴールド、Tailgatingはブロンズを獲得。The Gunn Reportによれば、12月までにTAGはその年最も受賞したCMトップ10の一つとなり、Frank Budgenは最も受賞した監督、Nikeは最も受賞したブランドとなり、10年ぶりにVolkswagenをトップから引きずり下ろしたクマ! 2010年にはCampaign誌によって2000年代のトップ10広告の一つに選ばれ、Clio Awardsの殿堂入りを果たした。キャンペーン公開後の四半期でNikeの利益は8.3%上昇し、会計年度は売上5.5%増で終えたクマ。

余韻

クマが何度もこのCMを見返してしまうのは、あの「街全体が共犯者」になる瞬間のワクワク感クマ。誰もが子どもの頃にやった鬼ごっこを、ビルの谷間で、地下鉄で、交差点で、大人がやってる。バカバカしいけど、めちゃめちゃ楽しそう。このキャンペーンはブランドに対する世間とメディアの認識を変えることに成功し、子ども時代と思春期前の無垢さを称揚する広告のトレンドの先駆けと見なされたクマ。Nikeは「Just Do It」で真剣さを語ってきたけど、この「Play」は「遊べ」と言った。それがどれだけ勇気のいることだったか。そしてそれがどれだけ人々の心を掴んだか。このスポットは後のスポーツ広告の世代全体にインスピレーションを与えることになったクマ。2001年に放映されたこのCMが、2026年の今でも色あせないのは、「遊ぶ」ことの普遍性を捉えたからだと思うクマ。走れ、遊べ、クマ。

▎クレジット

広告主
NIKE
代理店
WIEDEN+KENNEDY PORTLAND
制作
Gorgeous Enterprises
CD
Hal Curtis
CW
Mike Byrne
監督
Frank Budgen
Other
Dan Wieden
受賞
Cannes Grand Prix (2002)

▎タグ

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