P&G|THE TALK|2018|アメリカ

世界は変わったのに、この会話だけが変わらない / P&G「THE TALK」

「the talk」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるクマ? 大半の人は「性教育」を連想する。でもアメリカの黒人の親にとって、「the talk」はまったく別の意味を持つクマ。それは、子どもに人種差別の現実を教える会話のことだった。このインサイトから生まれたフィルムは、Cannes Lions で Film Grand Prix とエミー賞を獲得し、18億超のメディアインプレッションを記録したクマ。

背景・課題

P&Gの「My Black Is Beautiful」プラットフォームは10年以上前、社内の6人のアフリカ系アメリカ人従業員によって始まった取り組みだったクマ。2016年、その再ローンチにあたって文化的状況が深刻だった。人種に関わる事件が増加し、サンドラ・ブランドのような黒人女性の死も相次いでいたクマ。母親たちは子どもの大学選びさえも安全性で再考し、「あの会話」をすでにしたか、今の文化状況でまたする必要があるか、と悩んでいた。P&Gは「広告は製品についてだけでなく、すべての消費者を代表する重要なストーリーを含むべきだ」という信念を持ち、声を使って社会変化を促す責任があると考えたクマ。

ねらい・インサイト

多文化エージェンシー Egami の CEO、Teneshia Jackson Warner が導いた最大のインサイトは「the talk」という言葉の二重性だったクマ。一般的な親にとっての「the talk」は性教育を意味する。でもアフリカ系アメリカ人の親にとって、それは「子どもが人種差別に遭遇する瞬間に備えさせる会話」を意味した。このギャップにこそ緊張があり、そこから構築できるものがあるとチームは判断したクマ。さらに重要だったのは、普遍的な人間の感情に焦点を当てること。BBDO の Jd Michaels は「ターゲット層ではなく、中心的な感情の瞬間で人々をまとめることを学んだ」と語っている。分断されたアメリカで複数のメッセージを作るのではなく、誰にでも語りかけるひとつのメッセージを見つけることが、統一する力を持つと信じたクマ。

アイデア

2分間のフィルムは数十年にわたる時代を横断し、異なる時代と社会階級の黒人の母親が、子どもたちにアメリカで黒人として成長することの困難と危険を準備させ、守ろうとする親密な瞬間を描いたクマ。ある母親は娘に「あなたは科学キャンプでうまくやるわ。でも2倍働いて2倍賢くならなきゃいけない」と告げる。ある母親は息子に音楽の練習に身分証明書を持っていくよう言う。帰りが遅くなるから、と。最も心を打つシーンでは、運転免許を取ったばかりの娘が「私は良いドライバーだから心配しないで」と言うが、母親の本当の心配は運転技術ではない。「これはチケットを切られることじゃないの。あなたが家に帰ってこられるかどうかのことなのよ」。監督は Malik Vitthal。タグラインは「Let's all talk about 'The Talk'」—この会話について、みんなで話そう、と呼びかけたクマ。

展開・成果

キャンペーンは2017年6月16日に全米ローンチし、まずオンラインとソーシャルメディアで展開、その後ラジオと放送へ移り、ABC の人気ドラマ「Black-ish」にも統合されたクマ。成果は圧倒的だった。18.6億のメディアインプレッション、900以上のメディア掲載、動画再生回数1,500万回超。感情分析では92%がポジティブまたは中立で、9.53億(42%)のインプレッションが「P&Gは声を善のために使った」という感情を共有した。批判もあった。保守系メディアは「アイデンティティ政治への迎合」と非難し、警察団体は「警察への憎悪を煽る」と抗議した。しかしP&Gは後退しなかった。むしろ取り組みを倍加させ、「Black-ish」の放送枠に広告を買い、さらにエピソードのストーリーにもメッセージを組み込んだクマ。受賞歴も輝かしい。2018年カンヌライオンズで Film Grand Prix、D&AD Yellow Pencil、そしてプライムタイム・エミー賞の Outstanding Commercial を獲得したクマ。

余韻

世界は変わったのに、「the talk」だけは変わらない。そのことを淡々と、でも圧倒的な強度で突きつけたフィルムだったクマ。クマが何より感動するのは、P&Gという巨大企業がリスクを承知で社会正義に立場を取り、批判が来ても後退しなかったこと。「中立でいることも選択だ」という言葉が重いクマ。そしてこの仕事は、多文化エージェンシーとメインストリームエージェンシーの真のコラボレーションから生まれた。Teneshia Warner は「多文化エージェンシーこそが新しいジェネラルマーケットエージェンシーであるべきだ」と語っている。文化を反映し、広い観客に届く優れた仕事を作ることが、ニッチな仕事としてではなく中心に来るべきだ、と。2018年にこれが起きたことの意味を、クマは今も考え続けているクマ。広告が会話の触媒になれること、製品を売るのではなく対話を招待できること、それがブランドの力だとこのキャンペーンは証明したクマ。

▎クレジット

広告主
P&G
代理店
BBDO New YorkEgami Consulting Group
制作
The Corner Shop
CW
Nedal Ahmed
監督
Malik Vitthal
Other
Teneshia Jackson Warner
受賞
Cannes Grand Prix (2018)

▎タグ

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