SPCA|DRIVING DOGS|2013|ニュージーランド

犬が運転できるなら、セカンドクラスなんて存在しない / SPCA「DRIVING DOGS」

犬が車を運転する。しかも本当に。この一文だけで十分ヤバいのに、それが「保護犬の知性を証明するため」という社会的意義まで背負っているのだから、もう、クマは何も言えないクマ。

背景・課題

ニュージーランドのSPCA(動物虐待防止協会)が抱えていた課題は明確だった。人々は保護犬を「二級品」だと思い込んでいたクマ。捨てられた、虐待された、何か問題があるから保護施設にいる——そんな負のイメージが、養子縁組の大きな壁になっていた。実際には保護犬たちは賢く、愛情深く、訓練可能なのに、その事実が届いていなかったクマ。MINIニュージーランドは長年SPCAのサポーターで、2012年、代理店のDraftFCB Aucklandに「本当に違いを生む」キャンペーンを依頼したクマ。

ねらい・インサイト

「保護犬は問題行動を持っている」という認識の壁を突破するには、圧倒的で、否定できない証拠が必要だった。ただ「賢い」と言葉で伝えても信じてもらえない。だから、極限まで複雑なタスク——それも誰もが「まさか」と思うようなこと——を実際にやってのける姿を見せる必要があったクマ。コピーライターのPeter Vegasは会議で冗談半分に「犬にMINIを運転させたら面白いんじゃない?」と言ったらしいけど、部屋にいた全員が「それ、いけるんじゃないか」と本気になったという。その瞬間がすべてクマ。

アイデア

Monty(ジャイアント・シュナウザー・ミックス)、Porter(ベアーディー・クロス)、Ginny(ウィペット・クロス)という3頭の保護犬を選び、ニュージーランドの著名な動物トレーナーMark Vetteのもとで8週間の「運転訓練」を実施したクマ。改造されたMINI Countryman Cooper Sを使い、犬が座席に座り、ハンドルを握り、アクセル・ブレーキ・ギアシフトを操作できるように段階的に訓練。まずは室内のカート型リグで基本動作を教え、徐々に実車へ移行していったクマ。そして2012年12月10日、ニュージーランドの人気報道番組「Campbell Live」で、犬が実際に車を運転する様子を生放送したクマ。Porterが直線を加速し、コーナーを曲がり、ブレーキで停止する——その一部始終が全国に流れ、世界中が驚愕したクマ。

展開・成果

結果は桁違いだった。1週間で2億人以上が犬の運転映像を目にし、41カ国で主要メディアが報道。Twitterではグローバルでトレンド入りし、YouTubeでは1,000万回以上再生された。わずか3万ドルの予算で1,500万ドル相当のPR露出を獲得したクマ。最も重要なのは、キャンペーン直後に養子縁組への関心が590%増加し、SPCAの全ての保護犬が引き取られたという事実クマ。運転犬たちは世界中の保護施設に希望をもたらし、アメリカやイギリスでも養子縁組への関心が高まった。2013年にはSpikes AsiaでGold、D&ADでも受賞。Montyはトレーナーに、他の犬たちも訓練に関わった人々に引き取られ、今も定期的にプレイデートを楽しんでいるというクマ。

余韻

「待って、本当に運転させるの? 演出じゃなくて?」とトレーナーのVetteが確認したあと、少しの沈黙を置いて「…できると思う」と答えたその瞬間に、この企画の全てが詰まっているクマ。誰も確信なんて持っていない。でも、やる。やり切る。その覚悟がすごいクマ。David Lettermanに取り上げられたときのVegasの興奮、生放送前の緊張と興奮と不条理の入り混じった空気——全部が愛おしいクマ。そして何より、「保護犬はセカンドクラスじゃない」というメッセージが、言葉ではなく、犬たちの前足がステアリングホイールを握る光景によって、世界中に刻まれたことが、最高にエモいクマ。

▎クレジット

広告主
SPCA
代理店
DraftFCB Auckland (FCB Auckland)
制作
Animals on Q (Mark Vette, Animal Trainer)
CD
Regan GraftonTony Clewett
CW
Peter Vegas
AD
Matt Williams
Other
Mark Vette
受賞
Cannes Gold (2013)

▎タグ

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