BJÖRK|NOTGET VR|2017|イギリス

この6分間、すべての視聴が異なる / BJÖRK「NOTGET VR」

VRでミュージックビデオを観る、と聞いて想像するものを、たぶんこれは超えてくるクマ。リアルタイムで変化し、観るたびに異なる体験を生み出すVRビデオとして、2017年カンヌライオンズでDigital Craft部門のグランプリを獲得したこの作品は、ただ「新しい」だけじゃなく、craft の全方位において最高峰に到達した仕事だったクマ。

背景・課題

「Notget」はBjörkの8thアルバム『Vulnicura』からの楽曲で、このアルバムをもとに制作されたVR体験群は「Björk Digital」という世界巡回展示として2016年にシドニーで初公開された。Björkは2014年から VR技術の実験を始めており、「Vulnicuraの時系列的な物語構造はVRが持つプライベートなサーカスに理想的」だと語っていたクマ。ミュージックビデオという表現形式の延長にVRがあったわけじゃなく、「VRは音楽ビデオの連続性であるだけでなく、さらに親密な演劇的可能性を持ち、この感情的な旅に理想的」という確信があったクマ。音楽×VRは当時まだ実験段階で、Björkの「Stonemilker」(2015年)が先駆的なVR音楽ビデオとして引用される状況の中、NotgetはVRをさらに一段階前進させる挑戦だったクマ。

ねらい・インサイト

審査員長Henry Cowlingは「この作品が考慮したのは、form(形式)、composition(構成)、storytelling(物語)を空間的な視点から—つまり、あなたが部屋の中の一人の人間であるという視点から考えた点」だと語ったクマ。360度ビデオを撮っておしまい、じゃなく、「**空間の中にいる体験として、どう構成するか**」が設計の核にあった。「この作品を毎回違うものにすれば、鑑賞者同士の会話がより面白くなり、もう一度見たいと思わせる」「Notget VRで最も満足しているのは、コンピューターゲームのように見えず、映画のように感じられるシネマティックな体験を作れたこと」という監督コメントからも、単なる技術デモではなく、**感情の強度を持つ作品として成立させる**という意志が貫かれていたことがわかるクマ。共同監督のThorntonは「Björkは閉所恐怖的で閉じ込められた環境を求め、そこから歓喜へと切り替えたかった」、Du Preezは「崩壊と傷を収容できる、内なる地球のような場所に沈めることにした」と語っており、音楽の感情構造を空間構造に翻訳しようとした試みがうかがえるクマ。

アイデア

BjörkはロンドンのImaginarium スタジオで「Notget」の新しいパフォーマンスをモーションキャプチャで収録し、アバターに変換された。リアルタイムグラフィックスエンジンを使用し、鑑賞者が位置を変えるとコンテクスト(映像世界)が動的に変化する。さらに、リアルタイムで空間化されたサウンドトラックも生成され、デジタルBjörkに近づくと彼女の声が大きくなり、離れると遠くなるクマ。AnalogはHoudiniと3DS Maxで景観とキャラクターデザインをモデリングし、社内開発のフォトリアリスティックなディテールとテクスチャを適用。環境とアウタースーツはHoudiniでプロシージャルに生成され、多くのバージョンを素早く作れるようにし、構造物はZbrushでオーガニックなディテールを追加してからvrayでテクスチャと照明をベイクしたクマ。クリエイティブディレクションとマスクはBjörk自身とJames Merryが担当し、Björkは巨大なデジタル蛾の女神として登場し、James Merryが創作した驚異的なマスクで変容する。約6分間の体験の中で、Björkは絶え間なく変容し続け、プログラムされているため視聴ごとにユニークで、十分なランダム要素があって飽きさせない設計になっているクマ。

展開・成果

2017年カンヌライオンズで Digital Craft 部門のグランプリを受賞。審査員長 Henry Cowling は「満場一致で選ばれた」と明言したクマ。審査員は「この作品はVRだけでなく、craft 全般について言いたいことすべてを体現している。他のすべてのプロジェクトで賞賛してきたデジタルクラフトのあらゆる側面を、最高レベルで組み合わせている。同時に、新しい領域を切り開いているという点が優位性を与えた。リスクを取ることはクラフト全般、特にデジタルにおいて不可欠であり、この作品はそれを説得力を持って実現した」とコメント。UK Music Video Awardでも Best Interactive Video にノミネート。Björk Digital は東京・ロンドン・モントリオール・LA・バルセロナ・ブエノスアイレスなど世界を巡回し、40万人以上の来場者を記録したクマ。最終的にVulnicura VR として2019年9月6日にSteam(Oculus Rift / Valve Index / HTC Vive対応)でリリースされ、家庭でも体験可能になったクマ。

余韻

クマがこの作品で痺れるのは、「**VRだから新しい**」で終わらせなかったことクマ。「VRだけでなく、クラフト全般について言いたいことすべてを代表している。他のすべてのプロジェクトで賞賛してきたデジタルクラフトのあらゆる側面を、最高レベルで組み合わせている」という審査員コメントに、すべてが詰まってる気がするクマ。技術は手段。その先に「毎回違う体験」という体験設計があり、「閉塞から歓喜へ」という感情設計があり、「映画のように感じられる」という質の追求がある。テクノロジーを使いこなすって、こういうことなんだクマ。2017年にこのレベルで空間オーディオ、リアルタイムレンダリング、モーションキャプチャ、プロシージャル生成を統合して**作品として成立させた**ことの凄みを、改めて噛みしめたいクマ。Björkがいなければ、VR音楽ビデオの地図はまだ真っ白だったかもしれないクマ。

▎クレジット

広告主
BJÖRK
代理店
W&N StudioANALOG LONDON
制作
ANALOGImaginarium (Motion Capture)
監督
Warren Du PreezNick Thornton Jones
音楽
BJÖRK
Other
James MerryBJÖRK
受賞
Cannes Grand Prix (2017)

▎タグ

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