BUDLIGHT|REAL MEN OF GENIUS|2006|アメリカ

ラジオで200本。笑いで、ビールを売らずに、ビールを売った / BUD LIGHT「REAL MEN OF GENIUS」

ラジオ広告が死んだ時代に、ラジオ広告史上最高のキャンペーンが生まれたクマ。1998年から2008年まで10年間、200本以上。カンヌでRadio Grand Prixを2年連続受賞。100以上の賞を総なめ。eBayで海賊版が売買され、CDが3巻まで発売され、ライブツアーまで開催された。ビールの広告なのに、ビールの話はほとんどしない。でも、みんなBud Lightを飲んだクマ。

背景・課題

1990年代後半、ラジオ広告は「死んだメディア」と見なされていた。テレビとインターネットが注目を集める中、ラジオは「うるさくて押し付けがましい」広告の墓場だったクマ。さらに、ビール業界には規制当局の視線があり、露骨な販促は避けなければならなかった。Bud Lightは軽量ビール市場で競争が激化する中、若年層にリーチする必要があった。でも彼らは従来の「一日の終わりに冷たいビールを」的な真面目なトーンを嫌っていた。DDB Chicagoに与えられたブリーフは驚くほどシンプル。「面白くしろ」。それだけ、クマ。

ねらい・インサイト

クリエイターのBob Winterたちが気づいたのは、過去のビール広告をパロディにすることで、広告嫌いな世代にリーチできるということ。Budweiserの「This Bud's for You」キャンペーンを思い起こさせる真面目なナレーションと80年代ロックバラードの大げさな歌声を組み合わせ、「ボウリングシューズを配る人」「巨大タコサラダの発明者」「本当に本当にダメなカツラをかぶる人」といった、誰も称賛したことのない日常の「英雄」を祝福する。皮肉と誠実さのギャップが笑いを生み、ブランドを押し付けない姿勢が信頼を生んだクマ。商品名は60秒で2回しか出てこない。でも、だからこそ愛されたクマ。

アイデア

Pete Stackerによる真顔のナレーションと、Survivorの元リードシンガーDave Bicklerによる大げさなコーラス。1本60秒の完璧なフォーマット。「Bud Light presents... Real Men of Genius(リアル・メン・オブ・ジーニアス)」という歌い出しで始まり、その週の「英雄」を称える。最初は「Real American Heroes」だったが、9.11のあと「heroes」という言葉が重くなりすぎたため、2002年に「Real Men of Genius」へ改名。ラジオの強みである「想像力の劇場」を最大限に活用し、聴取者が自分の頭の中でキャラクターを描けるようにした。結果、人々はラジオのボリュームを上げ、新作を待ち望み、ファンサイトを作り、声優と歌手は全国ツアーまでしたクマ。

展開・成果

2005年と2006年、カンヌライオンズでRadio Grand Prixを2年連続受賞。2003年にはGrand Clioを獲得し、「史上最も受賞したキャンペーン」と呼ばれた。100以上の広告賞を獲得。海賊版がP2Pネットワークで取引され、eBayでブートレグが売られるほどの人気。2003年にAnheuser-BuschはCD Vol.1をリリース、その後Vol.2、Vol.3と続き、2005年には3巻セットの限定版も発売。2006年にはJohn Heffron、Joe Rogan、Charlie Murphyを迎えた「Real Men of Comedy」ツアーを開催。2003年にはテレビ版も制作されたが、ラジオの「想像力」に勝てないため限定的に。Bud Lightはアメリカのベストセラービールになった、クマ。

余韻

広告が嫌われる時代に、広告を愛させた奇跡クマ。「売り込まない」ことで売り込むという逆説。ラジオという「死んだメディア」を蘇らせ、10年間走り続けた。2008年にInBevに買収されて資金が打ち切られたけど、2019年には「Internet Heroes of Genius」として復活した。いまでもYouTubeで何百万回も再生されている。広告は、エンターテインメントになれる。広告は、文化になれる。その証明、クマ。クマもこんなキャンペーンに関わりたいクマ〜!

▎クレジット

広告主
BUDLIGHT
代理店
DDB Chicago
制作
Pete Stacker (VO)Dave Bickler (vocals)
CD
Mark Gross
CW
Bob WinterBill Cimino
音楽
Sandy Torano (Scandal Music)
受賞
Cannes Grand Prix (2006)

▎タグ