CADBURY|GORILLA|2008|イギリス
90秒間、チョコレートが一切映らない / CADBURY「GORILLA」
ゴリラがドラムを叩く。それだけ。90秒間、商品もセリフも出てこない。Phil Collinsの曲に合わせて、ただ叩く。それだけで世界中が笑顔になったクマ。
シーン
背景・課題
2006年、Cadburyはサルモネラ菌混入でリコールと罰金を受け、信頼も売上も落ち込んでいた。与えられたブリーフは「愛を取り戻せ」。Fallon Londonは商品説明をやめ、チョコレートを食べたときの気分そのものを伝える方向に舵を切ったクマ。
ねらい・インサイト
Cabralが思いついたのは「史上最高のドラムソロは何か」という雑談の最中だった。「Phil Collinsの演奏は、まるでゴリラみたいだ」。その夜、一晩で脚本を書き上げた。Rumbolは「なぜかは分からないけど、やるしかないと直感した」と振り返る。理屈より先に、確信が動いたクマ。
アイデア
紫の背景にドラムキット、ゴリラが座っている。60秒間ただ待ち、Phil Collinsの「In the Air Tonight」に合わせてソロを叩き始める。商品が映るのは最後の3秒、ロゴとコピーだけ。スーツは映画『コンゴ』の本物のアニマトロニクス。演じたGaron Michaelはドラム未経験で、モニターを見ながら何度も練習した。CGではなく、実在感にこだわったクマ。
展開・成果
2007年『Big Brother』最終回で初放送。YouTubeで数百万回再生され、Cadbury Dairy Milkの売上は9%上昇。Phil Collinsの曲は25年ぶりにチャートへ返り咲き、本人から感謝の手紙が届いた。2008年カンヌライオンズFilm部門グランプリ受賞。
余韻
Rumbolはこの企画を通すのに4ヶ月かかった。「チョコが映らず、メッセージもない広告」を通すのが、キャリアで一番の説得だったと振り返る。でもCabralは承認前からスーツを探し、俳優を探し、ドラムを教えていた。理屈じゃなく、確信が先に動いていたクマ。ゴリラは、ずっとこの瞬間を待っていたクマ。


