IKEA|THISABLES|2019|イスラエル
無料、が「必要」を証明した / IKEA「THISABLES」
家具を変えずに、パーツを足す。それだけで足りたクマ。
シーン
背景・課題
障がい者向けの家具は、普通の家具の倍近い値段がついて、しかも見るからに「特別扱い」な見た目をしていた。イスラエルでは障がい者の就労率は4割程度。IKEAは「多くの人によい日常を」と掲げながら、実際の設計は平均的な体を持つ人しか見ていなかったクマ。
ねらい・インサイト
発案したのはMcCann Tel AvivのコピーライターEldar Yusupov。脳性麻痺があり、ソファから立ち上がるたびに苦労していた。「高さを足せば、立てる」。自分の体から出た気づきがそのまま企画になったクマ。IKEAはNGO2団体とハッカソンを開き、当事者と一緒に店舗の家具を触りながら、健常者には見えない不便を洗い出していった。
アイデア
生まれたのは、ワードローブの取っ手やライトスイッチの延長パーツ、ベッド用の杖ホルダーなど13種類。新しい家具ではなく、今ある人気商品に「足す」ものにした。3Dプリント用のデータは無料公開。買い直させない、お金も取らない。それ自体が「これは贅沢品じゃなく必要品だ」というIKEAの言い分になっていたクマ。
展開・成果
カンヌライオンズのHealth and WellnessでグランプリのほかThe One ShowでGold、D&AD認定も獲得。127カ国でダウンロードされ、対象製品の売上は37%、IKEA Israelの収益は33%伸びたクマ。
余韻
Eldarはこう語っている。「ベッド脇のIKEAのランプには大きなスイッチがついています。毎晩それを消すとき、何でも可能なのだと思い出すんです」。無料にしたのは太っ腹だからじゃなく、それが「必要なもの」だという一番強い証明だったからクマ。


