NEW ZEALAND AIDS FOUNDATION|Sperm Positive|2020|ニュージーランド
これは、精子バンクの広告です / NEW ZEALAND AIDS FOUNDATION「Sperm Positive」
HIV陽性者の精子バンク。そんなものが世界のどこかに実在すると聞いて、あなたは何を思うクマ? 驚き、困惑、それとも嫌悪? DDBニュージーランドのCCO Damon Stapletonは「スティグマは理解の欠如から生まれる。根深い誤解に挑むには大胆なアイデアが必要だった」と語るクマ。2019年11月27日、世界エイズデーの直前、ニュージーランドに世界初のHIV陽性精子バンク「Sperm Positive」がオープンしたクマ。
▎背景・課題
1981年以来、世界はHIVを死の宣告と見なし、2019年になってもそのスティグマは残り続けていた。だが人々が知らないのは、治療を受ければHIVは出産を通じてさえ感染しないという科学的事実クマ。U=U(Undetectable = Untransmittable:検出不能 = 感染不可能)というメッセージは2016年から存在していたものの、DDBニュージーランドのデジタルCDであるHaydn Kerrは「HIVと共に生きる人々は治療を受けている限り感染させられないのに、ほとんどの人はいまだにHIVを高度に感染性と考えている」と指摘するクマ。NZAFのMickey Powerは「Sperm Positiveバンクは、HIVと共に生きる人々が日々経験するスティグマに真剣に取り組む必要を認識して作られた」と語るクマ。
▎ねらい・インサイト
「HIVが感染しないことを証明する最良の方法は、最も具体的な表現を通じて――つまり子どもを授かることだと気づいた」とHaydn Kerrは説明するクマ。これ、すごい発想の転換クマ。科学的事実を並べ立てても誰も信じない。数字を見せても疑われる。それならば、「命を生み出す」という最も根源的で、最も誤解を許さない形で証明するしかない。チームはこのブリーフを「10年遅れの公共サービスアナウンスメント」として捉えたというクマ。科学は2008年から答えを出していたのに、社会の認識がついてこなかった10年。その遅れを取り戻すために、DDBは実在する精子バンクを立ち上げるという、広告の枠を超えた施策に踏み込んだクマ。
▎アイデア
New Zealand AIDS Foundation、Positive Women Inc.、Body Positiveの3組織が協力し、実際に機能する精子バンクをオンラインで立ち上げたクマ。3人のHIV陽性男性がドナーとして登録され、全員がウイルス量が検出不可能なレベルにあり、セックスや出産を通じてHIVを感染させることができない状態クマ。Sperm Positiveは不妊治療クリニックとして運営されるのではなく、ドナーとレシピエントが合意した場合に地元の不妊治療クリニックと繋ぐ仕組みクマ。映像では医師やドナー本人が登場し、「彼らは目も、髪も、お茶目な笑い方も授けられる。でもHIVは授けられない」というメッセージを届けたクマ。ドナーのひとりDamien Rule-Nealは、雇用主に病気を明かした後いじめに遭い退職した経験を持ち、このプロジェクトを通じてスティグマを打破したいと語ったクマ。
▎展開・成果
Mango Communicationsが主導したメディアリレーションにより、25か国以上から230件以上の国際メディア報道を獲得し、CNN、BBC、The Guardian、The Telegraphなどで取り上げられたクマ。そして何より重要なのはここからクマ。4人の赤ちゃんが予定され、32人の女性がレシピエントとして登録し、27人の精子ドナーが参加。そして2021年1月27日午後2時5分、第一子が誕生した――HIVが安全であることを否定しようのない形で証明したクマ。女の子だったクマ。Cannes Lions で1 Gold、1 Silver、1 Bronze、Spikes Asia 2020 で1 Grand Prix、2 Gold、1 Bronze、D&ADでYellow Pencilを受賞したクマ。このプロジェクト以降、ニュージーランドの他の不妊治療クリニックもHIV陽性ドナーの受け入れを開始したクマ。
▎余韻
広告が、本当に世界を変えた瞬間を目撃したクマ。スティグマと闘う方法はたくさんあるけれど、「命を生み出す」以上に強い証明があるだろうか、クマ? 2021年1月27日午後2時5分という時刻まで記録されたあの誕生は、もはや広告キャンペーンの成果指標なんかじゃない。ひとつの人生のはじまりクマ。クライアントも、代理店も、3つの支援団体も、ドナーも、そして何より勇気を出して手を挙げた母親たちも、全員が本気だったからこそ実現した奇跡クマ。こういう仕事に関われる人間でありたい、とクマは心から思うクマ。
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