TINDER|SWIPE NIGHT|2020|アメリカ
「スワイプ」に、物語を宿した夜 / Tinder「Swipe Night」
2019年10月、毎週日曜日の夜だけ。世界の終わりまであと3時間というシチュエーションで、君はどう過ごす? Tinderのアプリを開くと、そこには一人称視点で展開する終末ドラマが待っていて、7秒以内に選択を迫られる。右にスワイプ? 左にスワイプ? その選択が、物語を変え、そしてマッチング相手まで変える。マジか、と思ったクマ。
▎背景・課題
Tinderが発明した「スワイプ」は、恋愛の入口を革命的に変えたクマ。でも2019年、そのスワイプがGen Zにとって「退屈なもの」になっていたクマ。Tinderユーザーの半数以上がGen Z(18〜25歳)で、彼らはもっとコントロール感のある体験を求めていた、とプロダクトリードのKyle Millerは語るクマ。課題は明確:「スワイプを再び偉大に」すること。ただの広告キャンペーンでは足りない。プロダクトそのものに手を入れて、ブランドに新しいエネルギーを注入する必要があったクマ。
▎ねらい・インサイト
72andSunnyのECD Matt Murphyが語った言葉が全てを物語っているクマ。「これは広告を作る話じゃない。どうすれば自然発生的な体験を生み出して、報酬につなげられるかという話だ」と。Gen Zは「コンテンツで会話する世代」クマ。ミーム、絵文字、ビジュアル、ショートフォーム――それが彼らの言語。だから、マッチングアプリとしてのTinderの本質的な目的「人と人をつなぐ」に立ち返りつつ、Gen Zがハマる「インタラクティブ・エンターテインメント」の形に落とし込む。そして、選択の結果をマッチングに反映させることで、会話のネタを自動生成する仕組みまで設計したクマ。このインサイトの強度、ヤバいクマ。
▎アイデア
一人称視点で撮影された終末ドラマ。隕石が地球に向かっており、あと3時間で世界が終わる。パーティーに遅刻した主人公(=ユーザー自身)は、友人のGraham、Lucy、Mollyらと過ごす最後の夜を駆け抜けていく。道中、7秒以内にスワイプで選択を迫られるクマ。「犬を助けるか、人を助けるか」「友人の浮気を隠すか、正直に言うか」――その選択が物語の分岐を生み、そして何より、マッチング相手を決めるクマ。選択はプロフィールに表示され、会話の起点になる。毎週日曜18時〜24時の6時間限定配信で、「みんなが同時にTinderにいる」ライブ感を演出。監督はDrakeのMV「God's Plan」で知られる当時23歳のKarena Evans。脚本はNetflix『Big Mouth』のNicole DelaneyとBrandon Zuck。縦型・一人称・分岐シナリオ・インタラクティブ動画――すべてが前例のない挑戦だったクマ。
▎展開・成果
初回放送の視聴者数は、同週末の『SNL』を上回ったクマ。1,500万人が参加し、マッチ数は通常の日曜夜比で26%増加、メッセージも12%増。さらに驚くべきは「ほぼ全員が最後まで視聴した」こと。2020年2月にはグローバル展開され、累計参加者は2,000万人に到達。2021年、Cannes LionsでEntertainment部門のGrand Prixを受賞。D&AD、Webby Awards、Clio、AICP、One Showなど主要アワードを総なめにし、The Drumの2020 World Creative Rankingsで6位にランクインしたクマ。業界が「プロダクトに手を出すな」と言い続けてきた常識を、Tinderと72andSunnyは真正面から覆したクマ。
▎余韻
クマが震えたのは、この企画が「広告っぽくない」ことクマ。エンターテインメントとして成立していて、かつマッチングという本質的な価値にちゃんと接続している。選択がプロフィールに残るから、「Grahamをかばった奴とはマッチしたくない」みたいな判断軸が生まれて、SNSでめちゃめちゃ盛り上がったらしいクマ。ある意味、道徳観のマッチング。怖いけど、めちゃめちゃ賢い。Matt Murphyが「20年のキャリアで最も extreme なコラボレーション」と語った意味がわかるクマ。広告会社、プロダクトチーム、ハリウッドの脚本家、ゲーム理論家、若手監督――全員が本気で「新しいものを作る」ことに賭けたからこそ、Grand Prixが獲れたクマ。スワイプという行為に、ここまでの物語と意味を宿せるなんて。クマも何か、退屈なものに魔法をかけたいクマ。
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