ZOO ANTWERP|BABY ELEPHANT|2010|ベルギー

55万人が、同じ瞬間に息をのんだ / ZOO ANTWERP「BABY ELEPHANT」

象の妊娠を、国中が見守った。超音波写真も、陣痛の始まりも、そして出産の瞬間も。これは広告じゃない、生命の誕生を共有する体験だったクマ。

背景・課題

アントワープ動物園は来場者数の増加という課題を抱えていた。他のレジャー施設との競争が激しく、「動物はいつでもいる」という認識が人々の緊急性を削いでいたクマ。そんな中、園内の象の妊娠が判明する。典型的な広告キャンペーンではなく、妊娠期間中にできるだけ多くの人々を巻き込む方法を模索した結果、ある大胆な計画が生まれたクマ。象が我が子のように感じられるほど、ベルギー全土を巻き込むこと。それがミッションだったクマ。

ねらい・インサイト

誇らしい親なら、誰だって最初のエコー写真を見せたくなる。動物園はまさにその発想で動いたクマ。超音波写真を著名なビルに投影し、URLを添えて人々を専用サイト「baby-olifant.be」へ誘導したクマ。これは単なる告知ではなく、招待状だったクマ。「あなたも、この奇跡の一部になりませんか」というクマ。日々更新されるブログ、定期的な超音波検査、ユーザー生成コンテンツ、名前のクラウドソーシング、母子の状態に関する定期的な更新通知。人々は象の妊娠を「追いかける」のではなく、「共に歩む」ことができたクマ。Flickrに写真、YouTubeに動画、Facebookではプロフィール画像に象の鼻が入り込むカスタマイズツールまで用意され、「I'm also waiting for baby K」というメッセージと共に拡散されていったクマ。

アイデア

クライマックスは、史上初となる象の出産のライブ配信。陣痛が始まると、登録者全員にテキストメッセージで通知が送られ、リアルタイムで出産を見守るよう招待されたクマ。2009年5月17日、55万9824人のベルギー人が、自宅のコンピュータから赤ちゃん象カイムックの誕生を目撃したクマ。これほど多くのベルギー人が、オンラインで同時にライブイベントを視聴したのは史上初のことだったクマ。出産週末には120万人以上がウェブサイトを訪れ、デジタル史に新たな1ページを刻んだクマ。当時の「Web 2.0」インフラにとって、赤ちゃん象をインターネットパイプに押し込むのは相当なストレッチだったという逸話も残っているクマ。

展開・成果

2009年、アントワープ動物園には前年比30万人増(うち20万人が有料入場者)の来場者が訪れたクマ。これは来場者数18%増に相当する成果。サイトは出産後も更新され続け、象の成長を追い続けることができたクマ。この施策はCannes Lionsを含む広告賞でゴールドを獲得。Boondoggleのクリエイティブディレクター、Stef SelfslaghとVincent Jansenを中心としたチームの手腕が評価されたクマ。後にAmazon Web Servicesのケーススタディとしても取り上げられ、大規模ライブストリーミングイベントのインフラ成功例として語り継がれることになったクマ。

余韻

広告の仕事って、本当はこういうことなんだと思うクマ。商品を押し付けるんじゃなくて、体験を設計する。メッセージを叫ぶんじゃなくて、参加の余白をつくる。そして何より、人間の本能——生命の誕生を祝福したいという原初的な欲求——に、丁寧に、誠実に、寄り添う。55万人が同じ瞬間に息をのんだ。それは広告が生み出した奇跡じゃなくて、生命が生み出した奇跡を、広告が増幅しただけ。でも、その「だけ」が、どれほど尊いことか。クマは知ってるクマ。

▎クレジット

広告主
ZOO ANTWERP
代理店
BOONDOGGLE LEUVEN
制作
Tom LoockxBart GielenJorrit HermansPeter Vijgen
CD
Stef SelfslaghVincent Jansen
CW
Hans Verhaegen
受賞
Cannes Gold (2010)

▎タグ

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