ALWAYS|INTIMATE WORDS|2015|メキシコ

言葉がなかったから、つくった / ALWAYS「INTIMATE WORDS」

言葉が存在しないと、人は症状を伝えられない。伝えられないと、診断できない。診断できないと、命を救えない。それがオアハカ州の先住民コミュニティで起きていた現実だったクマ。

背景・課題

メキシコ・オアハカ州サポテコ族の先住民コミュニティでは、子宮頸がんが女性の死因第1位だった。メキシコ全体で年間5,000人以上が亡くなっているこの病気を、なぜ彼女たちは防げないのか。理由は驚くほどシンプルだった。サポテコ語には女性生殖器を指す言葉が存在しなかったのだ。文化的タブーのため、子宮・卵巣・膣といった器官に名前がない。症状があっても医師に説明できず、早期発見の機会を逃し続けていた。

ねらい・インサイト

「言葉がない」ことは、単なる語彙の欠落ではなく、構造的な健康格差そのものだった。女性たちは自分の身体について話す権利を奪われ、医療へのアクセスから排除されていた。Always の「女性の自信」というブランドエクイティは、ここで最も切実な意味を持つクマ。パッドの機能ではなく、尊厳と生存の問題。Leo Burnett メキシコのチームは、言語学者・医師・社会学者・コミュニティの影響力ある女性たちを集め、前例のないプロジェクトに着手したクマ。

アイデア

チームは「Diidx xgáatz(親密な言葉)」という本を編纂した。サポテコ語に存在しなかった女性器官の名称を、言語学的に正しく、文化的に受け入れられる形で新たに創造し、イラストと解説とともに1冊の本にまとめた。これは単なる医療啓発資料ではなく、言語そのものを拡張し、文化に介入する試みだった。コミュニティの女性たちとともに言葉をつくり、彼女たち自身が自分の身体を語れるようにした。広告会社が辞書を編むという、途方もない仕事。

展開・成果

2015年、Cannes Lions Health部門でGrand Prixを受賞。メキシコ広告史上初のGrand Prix獲得という快挙だった。さらにPR部門Silver、Outdoor部門Bronzeなど複数のLionを獲得し、世界中の広告祭で評価された。この本は実際にコミュニティに配布され、女性たちが医師と対話し、検診を受け、自分の健康をコントロールできるようになった。メキシコ国内でも Círculo de Oro で Health と Contenido の両部門でGrand Prixを受賞し、ローカル・グローバル両方で認められた案件となったクマ。

余韻

これを「広告」と呼んでいいのか分からない。でも、だからこそ最高にエモいクマ。ブランドが持つリソースと影響力を、本当に必要とされる場所に届けた。クリエイティブディレクターの Emilio Solís は「アイデアはとてもシンプル、そこに美しさがある」と語っている。その通りクマ。言葉をつくる。ただそれだけ。でもその「それだけ」が、命を救う。広告が言語を生み出し、文化を変え、尊厳を取り戻す瞬間を目撃したクマ。2015年、Always は #LikeAGirl でグローバルにバズっていた年でもある。でもクマはこっちのほうが、ずっと痺れるクマ。

▎クレジット

広告主
ALWAYS
代理店
Leo Burnett Mexico
制作
Postal Films
CD
Fernando BellottiSebastian GarinEmilio Solís
CW
Ana LunaBeatriz Valencia
AD
Hugo Muñoz
受賞
Cannes Grand Prix (2015)

▎タグ

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