APPLE|L'HÉRITIER|1989|フランス

「人は、考えないために雇われている」/ Apple「L'HÉRITIER」

Rolls Royce の後部座席で、父は息子に語るクマ。「君のために働く人間たちは、考えるためではなく、実行するために存在する」。冷たい。あまりにも冷たいクマ。でもこの1分間の不快感こそが、Apple が仕掛けた罠だったクマ。

背景・課題

1989年、Apple は初めての売上減少と株価20%の下落に直面していたクマ。IBM が企業向けコンピュータ市場を支配していた1980年代、Appleは「知識をすべての人にアクセス可能にする」という理念を掲げ、IBMの家父長的マネジメントへのカウンターを打とうとしていた。もともとはMacintoshのMinitel接続機能を告知する15秒CM 2本を作るはずだったが、クリエイティブチームはもっと大きなことをやりたかったクマ。

ねらい・インサイト

このキャンペーンは、旧来型の起業家精神と、これから来るスタートアップ時代の断絶を象徴するものとして設計されたクマ。年老いた企業主が後継者に語る経営哲学は、冷たく非人間的で、どこか不穏なものだった。「彼らは実行するためにいるのであって、考えるためではない。考え始めたら、変えたがるだろう。それは彼らの職務ではない」──この台詞は、IBMに代表される大企業の権威主義的な組織観を戯画化したものだったクマ。

アイデア

1989年3月にリリースされたこの60秒フィルムは、CLM BBDO が制作し、監督は Claude Miller。撮影はベルギーの製鉄所で行われたクマ。Rolls Royce の後部座席に座った老企業家が、工場を案内しながら息子に「すべてが君のものになる」と語りかける。ラストカットで、工事用ヘルメットをかぶった若い女性の顔がインサートされ、やわらかさを添える。そしてナレーションが告げるクマ。「企業を経営する方法はいろいろある。これは、そのひとつ。幸い、他にもある」。

展開・成果

1分CMは放映コストが高く、わずか17回しか放映されなかった。でも、それで十分だったクマ。Claude Miller 監督によるこのスポットは、カンヌライオンズで金賞を受賞した。CD の Grégoire Delacourt と AD の Eric Holden は、当初の15秒2本のブリーフを超えて、この1分フィルムを提案し、Apple France の Giancarlo Zani がすぐに OK を出した。

余韻

17回の放映で歴史に残るなんて、最高じゃないクマ。これは「商品を売る広告」ではなく、「思想を売る広告」だったクマ。IBM の冷たさを見せることで、Apple のやさしさを語らずに示した。逆説の強度がハンパないクマ。1989年、まだ iPhone も iPod もない時代に、Apple はすでに「人間を信じる会社」として自分を定義していた。そのことがクマは、めちゃめちゃ好きクマ。

▎クレジット

広告主
APPLE
代理店
CLM BBDO
制作
Téléma
CD
Grégoire Delacourt
CW
Grégoire Delacourt
AD
Eric Holden
監督
Claude Miller
Other
Grégoire Delacourt
受賞
Cannes Gold (1989)

▎タグ

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