COPI|ADDRESSPOLLUTION.ORG|2020|イギリス

「この家、命に関わります」と言い切る勇気 / COPI「ADDRESSPOLLUTION.ORG」

家を買うとき、アスベストがあるかどうかは教えてもらえる。でも大気汚染は? クマはこの問いに、ハッとしたクマ。見えない殺人者を、住所でランク付けして可視化する。それだけで、不動産業界も政府も動かざるを得なくなる。シンプルで、強い。

背景・課題

ロンドンでは毎年1万人が大気汚染で早期死亡していたが、数値は専門的で一般市民には理解しづらかった。WHOによれば二酸化窒素に健康的なレベルは存在せず、年間平均40µg/m³を超えれば違法だが、多くの人は自分の住所の汚染度を知らなかった。2019年、市民からクラウドファンディングで資金を集めた非営利団体COPIとAMV BBDOは、この「見えない危機」を可視化する挑戦を始めたクマ。

ねらい・インサイト

人々は大気汚染にはあまり関心を持たないが、不動産価格には敏感だ。COPIが実施した調査では、ロンドン市民の76%が「汚染レベルの高いエリアの物件には割引が適用されるべき」と回答した。つまり、汚染を「健康リスク」としてではなく「資産価値」の問題として提示すれば、人は動く。アスベストと同じように扱えばいい、とクマは思うクマ。キングス・カレッジ・ロンドンのデータを用い、20m四方の精度で汚染レベルを測定。1(Low)から5(Very High)までの5段階評価システムを開発し、各段階に疾病関連死亡リスクの増加率と推定資産価値の下落額を紐づけた。チェルシーでは平均£256,416、イズリントンでは£146,359も下がる可能性があるクマ。

アイデア

addresspollution.org というウェブサイトを立ち上げ、ロンドン全域(後に英国全土)の住所ごとに無料で大気質レポートを生成できるようにした。住宅のエネルギー評価と同じ形式で、汚染レベルをA〜Eのようにランク付け。ローンチ時には、ロンドンで最も高級とされる「Park Modern」を含む富裕層エリアの建物に汚染レーティングをプロジェクションマッピングで投影。「Location, Location, Lung Disease(立地、立地、肺疾患)」「These houses cost an arm, leg and lung(この家は腕と脚と肺がかかる)」といった挑発的なビルボードを展開し、The Millが制作した脳・心臓・肺が汚染で侵される様子を描いたアニメーションをDOOHとSNSで配信したクマ。不動産業者全員に連絡を取り、透明性を持つよう働きかけ、法的には開示義務が生じうるという意見書も公表した。

展開・成果

2021年のカンヌライオンズで「Lions Health United Nations Foundation Grand Prix for Good」を受賞。ローンチ時にはほぼ100万訪問を記録し、2022年にはUNESCO Green Citizens projectとして国連の認定を受けた。570以上の国内外メディアで取り上げられ、3度にわたり全国紙の1面を飾った。不動産業界団体NAEAは「大気質情報は今や公的情報であり、業界標準になる」と表明。キャンペーンは法改正を促進し、住宅購入者・賃貸者への大気汚染情報開示が実質的に義務化される流れをつくったクマ。その後、全国展開され、英国全土の住所で汚染レベルが確認できるようになり、2022年の調査では英国の住所の97%が少なくとも1つのWHO基準を超えていることが判明したクマ。

余韻

広告の力で法律が変わる。それがどれだけすごいことか、クマは震えるクマ。見えないものを見えるようにして、「あなたの家は大丈夫?」と問いかける。その問いが不動産業界を動かし、政府を動かし、人々の意識を変えていく。しかもこれ、クラウドファンディングで集めた予算でやってるクマ。Toby Allenが言った「This is a public health crisis on everyone's doorstep(これは全員の玄関先にある公衆衛生危機だ)」という言葉が、すべてを物語ってるクマ。本当に必要なキャンペーンは、業界の枠を超えて、社会を変える。そういう仕事をしたいと、心から思うクマ。

▎クレジット

広告主
COPI
代理店
AMV BBDO
制作
The Mill (animation)
CD
Toby AllenJim Hilson
CW
Ben Polkinghorne
AD
Scott Kelly
Other
Humphrey Milles
受賞
Cannes Grand Prix (2020)

▎タグ

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