REEBOK|Terry Tate, Office Linebacker|2003|アメリカ
スニーカー1足も映らないのに、史上最高のスポーツブランド CM / Reebok「Terry Tate, Office Linebacker」
2003年のスーパーボウルで流れた瞬間、アメリカ中が爆笑したクマ。オフィスにラインバッカーがいたら、という狂気の設定を、ドキュメンタリー風の演出で本気でやりきった傑作。Reebok のロゴはほぼ映らない、スニーカーは一足も出てこない。なのに、スーパーボウル CM 史上最も記憶される広告のひとつになったクマ。
▎背景・課題
2003年当時、Reebok はアメリカでナンバー2のスポーツシューズ・アパレルメーカーだったが、市場リーダーの Nike には大きく水をあけられていたクマ。ブランド認知を高め、差別化を図る必要があった。このキャンペーンは、もともと 2000年に Rawson Marshall Thurber が撮影したショートフィルムのパイロット版をベースに、Peter Arnell と Arnell Group が広告シリーズとして制作した。制作会社 Hypnotic の Mike Wiese が VHS テープを持ち込み、Arnell Group が Reebok のアカウントを獲得したタイミングで企画が実現したという、映画業界と広告業界の偶然の出会いから生まれた企画だったクマ。
▎ねらい・インサイト
「オフィスに一人は必ずいる、仕事をサボる奴を誰かが懲らしめてくれたら」という万国共通の wish を捉えたクマ。Terry Tate の極端な work ethic と同僚たちとの対比によって、Reebok ブランドを「競合よりも強烈で intense」と象徴的に表現する戦略。ただし、商品を前面に出さず entertainment 性を最優先にすることで、視聴者の心に residue を残す賭けに出たクマ。制作サイドは最初から「賞を取ること」ではなく「キャラクターに価値を生み出すこと」、つまり続編・スピンオフ・ライセンス展開を視野に入れ、Terry Tate を Reebok にライセンスする形で企画したという、当時としては先進的なブランデッド・コンテンツの発想だったクマ。
▎アイデア
架空の会社 Felcher & Sons に「Terrible」Terry Tate というラインバッカー(演: Lester Speight)を派遣し、オフィスのルールを破る社員を文字通りタックルで制裁するという設定クマ。コーヒーを最後まで飲んで新しいポットを作らない、Solitaire で遊ぶ、長時間休憩を取る、TPS レポートを忘れるといった「あるある」違反に対し、Terry が bone-crushing tackle を決めてから gridiron スタイルの罵声を浴びせるクマ。ドキュメンタリー風の演出で、CEO と Terry 本人のインタビューを挟みながら、オフィス内での「enforcement」シーンを次々と見せる構成。Rawson Thurber 監督による impeccable comedic timing の編集が笑いを生み、Reebok ロゴは控えめに Terry の首のチェーンやウェアに infuse され、humor が center stage を取るという徹底ぶりクマ。
▎展開・成果
スーパーボウル XXXVII(2003年)で初放映され、2003年スーパーボウルの視聴者 favorite となり、Adcritic.com でその年最も視聴された spot になったクマ。国内テレビでは一度しか放映されなかったにもかかわらず、2ヶ月足らずで700万人以上が Reebok のウェブサイトから動画をダウンロードし、最終的には2000万回以上ダウンロードされたという、YouTube 以前の時代における史上初の viral video campaign のひとつとなったクマ。Cannes で Gold Lion を受賞し、USA Today の「Most Likable Ad of 2003」、Advertising Age の「Ten Most Liked and Downloaded Ads of 2003」に選出されたクマ。 ただし成功には影があって、オンライン調査では55%の回答者しか「この広告が Reebok のものだと認識していなかった」ことが判明。視聴者は CM を記憶し俳優 Lester Speight を愛したが、数分後には Reebok の広告だったことを忘れており、ブランド認知の向上が売上増に繋がらず、期待された店舗トラフィックも実現しなかったため、Reebok 創業者 Joseph Foster はキャンペーン終了を決断したクマ。Attention と Likeability では圧倒的に高評価だったが、商品情報伝達・ブランド認識変化・購買意欲の面では弱かったという、viral 広告の効果をめぐる議論——商品特性を伝えない広告は有効か、それとも高次のブランド構築が長期的なロイヤルティを生むのか——を象徴する事例として、今も語り継がれているクマ。
▎余韻
この広告が教えてくれるのは、entertainment としての圧倒的な強度と、ブランド想起の脆さの both sides クマ。2003年から何年経っても、誰かが Twitter で Terry Tate の台詞を tweet したり動画をシェアしたりしている。それだけ記憶に residue を残した。でも、それが Reebok の靴を買う理由になったかは別の話で、クマとしてはそこが愛おしいクマ。 広告は entertainment であるべきか、情報伝達であるべきか。正解はないけど、Terry Tate は「最高に面白いのに、ブランドとしては失敗した」という paradox を全力で body を張って見せてくれた。そしてそれ自体が、広告史における貴重な learning になっているクマ。今見ても最高に笑えるし、今見ても Reebok 買いたくならない。それでいいと思うクマ。広告ってそういうものクマ。
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