SCE|The Prevention Grid|2022|アメリカ
広告会社が電力網を救うとき / SCE「The Prevention Grid」
広告会社が作るのは広告だけじゃない、という時代がいよいよ本格的に来たクマ。Deloitte DigitalがSCEという電力会社のために作ったのは、ARとAIを使った山火事予防システム。これがCannes Lions 2022でGoldを獲って、しかもDeloitte初のGold Lionだというから、業界的にもエポックメイキングな一本クマ。
▎背景・課題
カリフォルニアの山火事は気候変動によって500%も巨大化し、2020年には430万エーカーが焼失したクマ。SCEはギリシャと同じ面積に相当する5万平方マイルにサービスを提供していて、高リスク地域に1万4千マイルの送電線と30万本の電柱を持っている。作業員は地上から目視で点検していたけど、気候変動の加速によって、徒歩での監視が追いつかなくなっていたクマ。現場写真を手動でアップロードしていたけど、画像が使えなかったり機械で読めなかったりで、メンテナンスの判断に使えないことが多かった。
▎ねらい・インサイト
問題の本質は「データの質」にあったクマ。地上からの目視点検では限界があるし、撮影した画像も機械が読めない形式では意味がない。機械判読率がわずか32%という状況を、どう変えるか。答えはAR(拡張現実)とComputer Vision AIを組み合わせて、「人間が見ながら、同時に機械も理解できる形でデータを取る」という発想クマ。
▎アイデア
カスタムComputer Vision AIレイヤーを開発し、ARと組み合わせることで、高品質な画像とグリッド資産データを同時に取得するシステムを構築したクマ。これらの新しいComputer Visionツールが、検査プロセスの精度とスピードを向上させ、組織全体での画像の読みやすさと使いやすさを改善した。AIが検査プロセス内のシンプルな質問——どの資産が存在するか(電柱、絶縁体など)、電柱上に何個の資産があるかなど——を事前に自動で埋めることで、作業効率が劇的に上がったクマ。
▎展開・成果
アプリの本格運用により、機械判読率が32%から78%に向上したクマ。2021年には20万本の電柱を分析し、800本が発火の危機的リスクにあることを発見、24時間以内に修理を完了した。グリッド強化作業の完了により、頻繁に影響を受ける回路での停電時間を推定70%削減。2018年以前と比較して、壊滅的な山火事被害のリスクを65%低減した。送電網に起因する山火事による炭素排出を、2020年の12万8千エーカーから2021年は500エーカー未満に削減したクマ。Cannes Lions 2022のCreative Business Transformation部門でGold Lion受賞、Deloitte初のGold Lion。
▎余韻
広告会社の仕事の定義が、完全に変わってきてるクマ。「コミュニケーションをデザインする」から「問題をシステムごと解決する」へ。しかもそれがカンヌでGoldを獲る。クライアントにとっても、代理店にとっても、新しい関係性のモデルケースだと思うクマ。2022年の時点でこれをやってたDeloitte Digitalと、それを受け入れたSCEの両方がすごいクマ。そしてこういう仕事にこそ、クリエイティビティの未来があるんじゃないかと、クマは思うクマ。
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