HAAGEN DAZS|HD loves HB (Honey, Let's Lick the Problem)|2009|アメリカ

ミツバチがいなくなったら、アイスクリームも消える / HAAGEN DAZS「HD loves HB」

2009年。ミツバチの3分の1が謎の失踪を遂げ、誰もその理由を知らなかったクマ。そんな中、ハーゲンダッツが立ち上がった。「このままじゃアイスクリームの40%が作れなくなる」という切実すぎる理由でクマ。

背景・課題

2006年頃から全米で Colony Collapse Disorder(蜂群崩壊症候群)という謎の現象が広がっていた。ミツバチが巣を捨てて消え、3分の1の蜂が死んでいたクマ。原因は不明。ウイルス、ダニ、農薬、栄養不足……可能性はいくつもあったけど、決定打はなかった。問題は、ミツバチがいなくなると、アメリカだけで年間150億ドル分の作物が受粉されなくなるということクマ。そして、ハーゲンダッツのフレーバーの40%は、ミツバチの受粉に依存する天然素材でできている。ブランドが掲げる「オールナチュラル」というアイデンティティが、文字通り消滅の危機に瀕していたクマ。一方で、当時のハーゲンダッツはブランドとしての熱量を失いつつあり、消費者との接点が希薄化していた。売上は停滞し、プレミアムアイスクリームとしての存在感が薄れていたクマ。

ねらい・インサイト

Goodby Silverstein & Partners のプランナーたちは、2007年にブロガーたちがミツバチ失踪について語り始めていることに気づいた。まだ誰も大きく取り上げていない、でも確実に深刻な問題クマ。そしてここに「ブランドの本質」と「社会課題」が完璧に重なるポイントがあった。ハーゲンダッツは天然素材だけでアイスクリームを作る。その原材料を支えているのがミツバチ。つまり、「オールナチュラルなアイスクリームは、オールナチュラルな労働力(ミツバチ)を守らなければならない」というロジックが成立したクマ。Christine Chen(Goodby Silverstein のコミュニケーション戦略担当)は「私たちはコーズを探していたわけじゃない。でもミツバチ問題は、ブランドが『なぜ自分たちに関係があるのか』を明確に示せる完璧なフィットだった」と語っているクマ。消費者は「自分たちはアイスクリームを食べるだけで貢献できる」と感じられる。ブランドは社会的意義を得る。そして何よりミツバチが救われる。全方位でwin-winな構造クマ。

アイデア

2008年2月にスタートした「HD loves HB(Häagen-Dazs loves Honey Bees)」キャンペーンは、統合型の本気クマ。まず、Penn State と UC Davis の2大学に25万ドルずつ、合計50万ドルの研究資金を寄付。新フレーバー「Vanilla Honey Bee」を発売し、売上の一部を研究に回す仕組みを作った。全てのミツバチ依存フレーバーのパッケージに「HD loves HB」ロゴを配置し、フタの裏には啓蒙メッセージを印刷。専門家による「Bee Board(ミツバチ諮問委員会)」を結成し、科学的な裏付けを確保した。さらに、National Geographic、Martha Stewart Living、Gourmet 誌に「植えられる広告」を出稿。読者が雑誌から広告ページを破り取って土に埋めると、種が発芽してミツバチに優しい花が咲く、という画期的な仕掛けクマ。ウェブサイト helpthehoneybees.com では、ユーザーがミツバチ視点で情報を飛び回るインタラクティブ体験を提供。Capitol Hill では Pollinator Week に合わせてアイスクリームソーシャルを開催し、ブランドディレクターの Katty Pien が議会で証言までしたクマ。広告とPRの境界を溶かし、「ミツバチを救う」というミッションを軸にあらゆるタッチポイントを統合した稀有な例クマ。

展開・成果

キャンペーンは予想をはるかに超える成功を収めた。最初の1週間で1億2500万のメディアインプレッションを獲得(当初の年間目標を7日で達成)。最終的には2億7700万インプレッション、広告換算額150万ドル相当に到達したクマ。売上は12ヶ月で過去最高の伸びを記録し、消費者のブランド推奨度は69%に上昇——測定対象の19ブランド中トップの数字クマ。受賞も凄まじく、2009年に One Show で Gold Pencil(史上初の Green Pencil も)、PRSA Silver Anvil Award of Excellence、Cannes Lions でも複数受賞、Festival of Media では Media Responsibility Award を獲得。メディアは自発的に取り上げ続け、Maine のブルーベリー農家が議会証言で「農業問題がこれほど短期間で消費者に認知されたことはない」と語ったクマ。ブランドは10年以上この取り組みを継続し、累計100万ドル以上を研究・教育に投じ、2017年には California の almond 農場に6.5マイルの hedgerow(ミツバチ生息地)を設置するまでに発展したクマ。

余韻

この事例がすごいのは、「コーズマーケティング」という言葉で片付けられない本気度クマ。アイスクリームブランドが議会で証言し、大学に研究資金を出し、10年以上活動を続けている。そしてその根底にあるのが「オールナチュラルなアイスクリームは、オールナチュラルな労働力を守る」という、ブランドの哲学と完全に一体化したロジック。消費者も「アイスクリームを食べるだけで貢献できる」という摩擦ゼロの参加設計。植えられる広告とか、ミツバチ視点のウェブサイトとか、細部のクラフトも最高。クマは思うクマ。本当に意味のあるコーズマーケティングって、こういうことなんだろうなと。ブランドが儲けるためじゃなく、ブランドが存在し続けるために必要だから動く。その誠実さが、結果として売上も評価も全部ついてきた。広告業界が2020年代に迷子になるたび、クマはこの事例を思い出すクマ。

▎クレジット

広告主
HAAGEN DAZS
代理店
Goodby Silverstein & Partners (Creative)Ketchum San Francisco (PR)
CD
Jim ElliottMargaret Johnson
監督
Katty Pien
Other
Christine Chen
受賞
Cannes Gold (2009)

▎タグ

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