T-MOBILE|Welcome Home|2011|イギリス

空港で待っていたのは、300人の歌声だった / T-Mobile「Welcome Home」

2010年10月27日、ヒースロー空港ターミナル5に到着した乗客たちは、300人の歓迎合唱団に出迎えられたクマ。疲れた顔で到着ロビーに出てきた瞬間、突然アカペラで歌い出す大群衆。完全にアウェイな空気から一転、思わず笑顔になる旅人たち。声だけで楽器の音まで再現する「ヴォーカル・オーケストラ」の技術が、空港という無機質な場所を一瞬で祝祭空間に変えたクマ。

背景・課題

2009年当時、T-Mobileはイギリス市場で4位に沈み、不況の中で携帯電話の利用が3分の1も減少していたクマ。革新的なサービスを持ちながらも競合に遅れをとり、人々はブランドが何を表しているのか分からず、料金訴求の広告も機能しなくなっていた。ブランドポジショニング「Life's for Sharing」を立ち上げ、T-Mobileへの興奮を生み出し、顧客を取り戻す新しいアプローチが必要だったクマ。この Welcome Home は、2009年のリバプール・ストリート駅でのフラッシュモブ「Dance」に続く、シリーズ第3弾クマ。

ねらい・インサイト

T-Mobileはこのキャンペーンを単なるフラッシュモブではなく、感情的なストーリーを語る「Punk'd モーメント」として意識的に設計したクマ。クリスマスの時期、空港はもともと感情的な場所であり、その場所と時期に感じる感情を増幅させることがT-Mobileの役割だと考えた。人々が携帯電話について語るとき、常に「日常で起きた予期しないことや面白いことを共有できること」を愛していると話すクマ。その洞察を、帰国という人生の感動的な瞬間に重ね合わせたクマ。

アイデア

エタ・ジェイムスの「At Last」、メル・トーメの「Comin' Home Baby」、マーク・モリソンの「Return of the Mack」、イギー・ポップの「I am the Passenger」、ジョージ・マイケル&アレサ・フランクリンの「I Knew You Were Waiting」など、旅と帰宅をテーマにした楽曲をメドレーで披露クマ。18台の隠しカメラで、イベントを目撃した人々のリアルな反応を撮影し、48時間以内に編集して金曜夜に放送、3分スポットとして10時〜10時半の全番組の最初のCM枠に、80以上のデジタル・地上波チャンネルで一斉放送するという、メディア展開そのものが「イベント」になる設計クマ。

展開・成果

このキャンペーンは「United Kingdom's 2011 commercial of the year」に選ばれたクマ。広告の境界を押し広げ、TV広告・屋外・ラジオという単体ではなく、ひとつのコンテンツをあらゆる消費者接点で活用する統合型の先駆的事例として、業界内で多くのケーススタディを生んだクマ。シリーズ全体では、前年比52%の売上増加、14万3000人の新規顧客獲得、そのうち80%が月30ポンド以上を使う上位顧客だったという結果を出したクマ。

余韻

空港の到着ロビーって、世界で最も感情が渋滞する場所のひとつだと思うクマ。久しぶりの再会、ひとりぼっちの帰国、出張帰りの疲労、旅の余韻。そこに「おかえり」を歌で届けるって、めちゃめちゃ強度が高いクマ。フラッシュモブという手法が一時期やりすぎて陳腐化したのは事実だけど、この Welcome Home が2010年に空港でやったことの意味は、いまでも色褪せないと思うクマ。帰ってきた場所で、誰かが待っていてくれる。それを広告がやるクマ。

▎クレジット

広告主
T-MOBILE
代理店
Saatchi & Saatchi London
制作
LondonSmuggler
CD
Paul Silburn
CW
Steve Howell
AD
Rick Dodds
監督
Henry-Alex Rubin
受賞
Cannes Gold (2011)

▎タグ

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