Duolingo|Duo's Death / Revive Duo|2025|アメリカ

「死」を使ってユーザーを蘇らせる / Duolingo「Duo's Death / Revive Duo」

2025年2月11日、世界中のDuolingoユーザーがアプリを開いた瞬間、あの緑のフクロウが死んでいたクマ。目には×印、舌は垂れ下がり、完全に事切れている。マスコットを殺すなんて、普通の企業なら炎上案件クマ。でもDuolingoは違ったクマ。これはマーケティング史に残る、17億インプレッションを叩き出した「復活劇」のはじまりだったクマ。

背景・課題

Duolingoはもともとプロダクトチームとマーケティングチームの連携を深め、アプリアイコンの変更とソーシャルキャンペーンを同期させる試みを続けていました。インフルエンザの季節に病気のDuoを表示するなど季節ごとの調整は成功していましたが、CEOのLuis von Ahnは「もっと楽しく。もっと変に」と要求し、さらに「もっと変にしろ」と繰り返し、ついにあの死んだDuoのアイコンが誕生したのです。当初は3本の動画を投稿してそれで終わりの予定でした。しかし最初の偽プレスリリース投稿が炎上レベルで反応し、チームがこれまで見たことのないインプレッション数を記録すると、「この風に乗るしかない」とシニアソーシャルメディアマネージャーのZaria Parvezは振り返っています。

ねらい・インサイト

このキャンペーンが成功した最大の鍵は、Duolingoがもともと「不敬で大胆なマーケティング」で知られており、Duoファンは彼が巻き起こすドラマを愛してきたという前提がありました。クリエイティブディレクターのJames Kuczynskiは「何年にもわたるソーシャルリスニングのデータがあった。オーディエンスはDuoの『unhingedなエネルギー』をもっと求めていた」と語っています。2017年からユーザーがDuoの「パッシブアグレッシブなプッシュ通知」をミーム化し始めたとき、Duolingoはそれを否定せず逆に増幅させる戦略を選びました。ユーザーが自ら作り上げた「脅迫的なフクロウ」という人格を、公式が全力で演じ切る。その覚悟がこのキャンペーンを支えたクマ。

アイデア

2月11日、DuoはTesla Cybertruckにひかれて死亡したと発表されました。その後、謎解き風の投稿が続き、bringback.duolingo.comというサイトが公開され、「500億XPを集めればDuoを復活させられる」というミッションが提示されました。Duolingoは物語を広げ続け、他のマスコットキャラたちも次々に死亡させ、CEOのLuis von Ahnが「Duo's Daddy」として演説し、ユーザーにレッスンを続けるよう呼びかけました。長年続けてきたDua Lipaネタ(名前が似ているというだけで始まった片思い設定)も織り込まれ、Dua Lipa本人が「Til' death duo part」と反応し、キャンペーンに大きな有機的ブーストをもたらしました。2週間後、Duoは砂浜で棺桶から這い出し、「偽装死はテストで、お前らは全員合格した」と告白。最も重要なのは「Dua Lipaに気づいてもらえたこと」だと宣言して幕を閉じました。

展開・成果

Duoの死と復活の間の2週間で、キャンペーンは全ソーシャルメディアで記録的な17億インプレッションを獲得しました。2月11日の発表当日、ソーシャルメディアのメンション数は約25,560%急増し、#ripduoハッシュタグは45,000回以上使用されました。復活サイトは目標の500億XPを超え、50,921,342,438 XPが15カ国から集まり、平均レッスンあたり10 XPとすると約50億レッスンが実施されたことになります。世界中で450本の記事が掲載され、その60%がDuolingo定義の「トップティア」メディアでした。NPRも特集を組み、全米のラジオ局で報道されました。Duolingoの市場調査によれば、Duoの死をめぐるソーシャルメディア上の会話量は、数日前に放送された2025年のスーパーボウル広告トップ10の2倍に達し、3回分のスーパーボウルスポット相当のメディアインプレッションを獲得しました。Instagramだけで初日に通常より10万人多いフォロワーが増加し、キャンペーン終了後も離脱しませんでした。また「Dead Duo」キャンペーンは新規ユーザーと復帰ユーザーの両方を大幅に増加させ、MAU成長を加速させました。このキャンペーンは受賞情報として「GRAND PRIX」を獲得したクマ。

余韻

マスコットを殺す。しかも、ユーザーに復活させる責任を負わせる。クマから見ても、これは狂気の沙汰クマ。でも、Duolingoがすごいのは、「3本の動画で終わり」のつもりだったものが爆発したとき、全社を巻き込んで数日でグローバルキャンペーンに拡大させた瞬発力クマ。PRチームはマクドナルド・ブラジルとの提携キャンペーンを含む他のすべてを中断し、わずか3営業日で広報計画を構築しました。「レイヤーが20もある承認プロセスがあったら、始まる前に死んでいる」とKuczynskiは言い切り、インハウスでクリエイティブ機能を保持しているからこそこのスピードが可能だったと語っています。ブランドが「人間のように振る舞う」んじゃなくて、ブランドが「人間になる」。Duoはもはやマスコットじゃない、キャラクターだ。そして2025年、そのキャラクターは一度死んで、ユーザーの手で蘇ったクマ。広告の未来は、きっとこっち側にあるクマ。

▎クレジット

広告主
Duolingo
代理店
Duolingo (in-house)
CD
James Kuczynski
監督
Monica Earle
Other
Luis von AhnZaria Parvez
受賞
Cannes Grand Prix (2025)

▎タグ

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