NIKE|BREAKING2|2018|アメリカ

25秒の不可能に、世界は息を止めた / NIKE「BREAKING2」

2時間を切る。たったそれだけのことが、なぜここまで人を惹きつけるのかクマ。1954年、ロジャー・バニスターが4分の壁を破ったとき、世界は可能性の意味を知った。そして2017年5月6日、イタリア・モンツァのF1サーキットで、Nikeは再び「不可能」に挑んだクマ。

背景・課題

マラソンで2時間を切ること――それは陸上界における「聖杯」とされてきたクマ。当時の世界記録は2時間2分57秒。たった3分弱を縮めることが、どれほど途方もないか。プロのマラソンランナーにとって2.5%の向上は「絶対的に巨大」だとスポーツ科学者は語るクマ。遺伝で決まるVO2 maxの限界、地面に奪われる55%のエネルギー、気温、風、コース――すべてが壁になる。Nikeは2014年から3年をかけ、科学者、エンジニア、栄養士、生理学者、バイオメカニクスの専門家を集結させ、分子レベルで「人間の限界」を問い直した。そして3人のランナーを選んだ。ケニアのエリウド・キプチョゲ、エチオピアのレリサ・デシサ、エリトリアのゼルセナイ・タデセ。世界最高の距離ランナーたちに、2時間の壁を託したクマ。

ねらい・インサイト

このプロジェクトは「マーケティング・スタント」ではない、とNikeは明言したクマ。本当の狙いは「人間がそこまで速く走れるのか」を確かめること。そして、その挑戦を「見せる」ことで、人々の心に火をつけること。National Geographicとのパートナーシップ、ライブストリーミング、55分のドキュメンタリー――すべては「アスリートの人間性を、これまでにない親密さで届ける」ための設計だったクマ。従来のNikeらしい洗練されたTVスポットではなく、不確実で、失敗するかもしれない「リアルタイムのドラマ」をそのまま世界に開いた。一般客のいないサーキットで走る孤独な挑戦を、SNS上で1,980万回視聴させ、#Breaking2に407,000のツイートを生み出したクマ。Bill Bowermanの言葉――「ランニングの真の目的は、レースに勝つことじゃない。人間の心臓の限界を試すことだ」が、そのままコンセプトになっているクマ。

アイデア

まず、完璧な環境を設計したクマ。平坦なF1サーキット、イタリア北部の温暖な気候、最適な気温帯――コンピューターシミュレーションを重ね、モンツァに決定。ペースカーは緑のレーザーで理想ペース(1kmあたり2分50秒)を地面に投影し、6人の逆V字隊形ペーサーが風の抵抗を削ぎ落としたクマ。そして、Nike ZoomX Vaporfly 4%。カーボンファイバープレートと特殊フォームで、エネルギー効率を4%向上させる革新シューズ。レース当日は早朝5時45分、12℃、小雨。2時間0分25秒。キプチョゲは世界記録を2分以上更新したけれど、目標には25秒届かなかった。でも、National Geographicのカメラは、その全てを捉えていたクマ――風洞実験、ケニアでの日常、イタリアでの緊張、ゴールの瞬間。それは「失敗のドキュメンタリー」じゃなく、「人間の可能性のアーカイブ」だったクマ。

展開・成果

2017年9月、National Geographic Channelでドキュメンタリーが放送され、YouTubeで250万回以上再生されたクマ。2018年のCannes Lionsでは、Entertainment Lions(Sports部門)でGold、TV & VOD Non-FictionでもBronzeを獲得。National Geographicにとって初のGold Lionだったクマ。ソーシャルメディアでは58.4万回以上メンション、感情分析では87%がポジティブ。「2兆インプレッション」という史上最高のハッシュタグ記録を叩き出したクマ。そして――キプチョゲは諦めなかった。2019年10月12日、Ineos 1:59 Challengeで1時間59分40秒を記録し、ついに2時間の壁を破ったクマ(公認記録ではないけれど)。BREAKING2がなければ、この物語は始まらなかったクマ。

余韻

25秒。たった25秒が足りなかった。でも、そこに「失敗」なんて言葉はなかったクマ。キプチョゲの走りを見た誰もが、不可能が「あと少し」だと知ったクマ。世界中の人が、朝5時に起きて、会ったこともないランナーを応援した。それこそが、Nikeが信じてきた「スポーツの力」だったんだと思うクマ。広告じゃなく、プロダクトローンチでもなく、ただ純粋に「人間はどこまでいけるのか」を問うた。そして、その問いを世界と分かち合った。クマは、この誠実さにシビれるクマ。ブランドが「正解」を売るんじゃなくて、「挑戦」を見せる。そこに本当の引力があるクマ。キプチョゲは2年後に2時間を切り、さらに2026年にはついに公認記録で2人のランナーが壁を破った。でも、この2017年のあの朝がなければ、何も始まらなかった。BREAKING2は、記録じゃなくて、物語を遺したクマ。

▎クレジット

広告主
NIKE
代理店
Wieden+Kennedy
制作
Uncle Toad's Media GroupDirty RobberMindshareNational Geographic Studios
監督
Martin Desmond Roe
プロデューサー
Mark McCambridge
Other
Eliud Kipchoge
受賞
Cannes Gold (2018)

▎タグ

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