VOLKSWAGEN|Funeral|1971|アメリカ

「最悪のシチュエーション」から生まれた、最高の一本 / Volkswagen「Funeral」

葬列の先頭から、死んだ億万長者が遺言を読み上げるクマ。広告のタブー中のタブー、「死」を扱って、しかも完璧にやってのけたクマ。

背景・課題

1960年代後半、VWは「Think Small」キャンペーンで既にアメリカ市場での地位を確立していたクマ。でも課題は明確で、「VW所有のコスト優位性をどう伝えるか」だったクマ。当時のアメリカ車広告は、ラグジュアリー、ステータス、パワーを謳うのが常識。そんな中でVWは地味で小さくて実用的な車。だからこそ、正直さとウィットで勝負してきた流れがあったクマ。

ねらい・インサイト

DDBのロイ・グレイスとジョン・ノーブルは、ブリーフを受け取ったとき、「最悪のシチュエーション」を考えることにしたクマ。最高のアイデアを出そうとプレッシャーを感じるより、「最悪」を考えたほうが脳がリラックスして創造性が解放される、という逆説的なアプローチクマ。そして彼らが選んだ最悪の場面が「葬式」だったクマ。広告業界で「触れてはいけない第三の線」と言われる死を、真正面から扱う決断。ロイ・グレイスは実際の葬列の車列を観察したことからインスピレーションを得たクマ。

アイデア

豪華なリムジンやセダンが連なる葬列。未亡人、息子たち、ビジネスパートナー、みんな高級車に乗ってる。そこに死んだ億万長者のナレーションが入るクマ。彼は遺言で、浪費家の妻や息子たちには何も残さず、唯一倹約家だった甥——フォルクスワーゲンに乗ってる甥——に全財産を譲ると告げるクマ。最後にヘリコプターからの俯瞰ショットで、葬列の一番後ろを小さなビートルが走ってるのが見える。ロゴもエンドカードもない。ただ、あの小さな車が映るだけ。それだけで全てが伝わるクマ。キャスティング、声の演技、カメラワーク、全てが完璧だったクマ。

展開・成果

「史上最高のCM」と評価されることも多い一本クマ。あるポールでは「THE BEST」に選ばれたこともあるクマ。DDBが1969年、クリエイティブの絶頂期に制作したこの作品は、「anti-advertising(反広告)」の手法——自己卑下と正直さで観客を味方につける——を完璧に体現したクマ。この広告が流れた時期、VWの年間販売台数は42万台を超えてピークに達したクマ。文化的な「水cooler moment(翌日オフィスで話題になる瞬間)」を生み出し、広告が死というタブーを扱える可能性を示したクマ。

余韻

「現金こそ王様(Cash is King)」っていうシンプルなテーマを、こんな形で表現できるなんて、クマは震えるクマ。ステータスシンボルじゃない車をどう売るか。答えは、「あなたの大切なお金は、この車にこそ使う価値がある」と、ウィットと皮肉で伝えること。最後まで視聴者を引きつける自信、商品を最後まで見せない度胸、ロゴすら出さない潔さ。全部が、広告の教科書クマ。今でもクマの心を揺さぶるクマ〜。

▎クレジット

広告主
VOLKSWAGEN
代理店
Doyle Dane Bernbach (DDB)
制作
Don Traver (Producer, DDB)
CW
John Noble
AD
Roy Grace
監督
Howard Zieff
受賞
Cannes Gold (1971)

▎タグ

▎広告くんが選ぶ関連3本

同じ匂いがするクマ〜