APPLE|Fuzzy Feelings|2024|アメリカ
やさしさのスイッチを押される / Apple「Fuzzy Feelings」
4分間ずっと泣きそうだったクマ。ストップモーションと実写が溶け合って、気づいたら心が動いてるクマ。George Harrisonの「Isn't It a Pity」が流れた瞬間、もうダメクマ。
▎背景・課題
Appleのホリデーフィルムは毎年恒例の楽しみだけど、2023年版はこれまでとちょっと違うアプローチを取ったクマ。「世界を動かす心温まるメッセージ」を届けることがブリーフだったらしい。ただし製品を前面に出すのではなく、iPhoneとMacで「何ができるか」を物語の中心に据える。ロンドンを舞台に、実写監督Lucia Aniello(「Hacks」のクリエイター)とストップモーションアニメーターAnna Mantzaris(「Isle of Dogs」)という2人のパワーハウスを組み合わせた時点で、ただごとじゃない予感がしたはずクマ。
▎ねらい・インサイト
「クリエイティビティには、お互いの見方や世界の見方を変える力がある」。これがAppleの核にあったメッセージクマ。ムカつく上司に日々ストレスを感じる若い女性が、ストップモーションという表現手段を通じて上司への「復讐」を繰り返す。でもある日、上司からのギフトをきっかけに彼女の視点が変わる。「新しいレンズを通して見ること」で、すべてが変わるというインサイトクマ。Anna Mantzarisは「ストップモーションは私の言語」と語っていて、言葉を使わずに感情と共感を伝えるために、この手法が選ばれたクマ。ちなみにGeorge Harrisonの楽曲選定も神がかってて、2つの異なるバージョンを巧みに編集して、前半のユーモアと後半の感動をシームレスにつないでいるクマ。
▎アイデア
実写パートではオフィスで働く女性の日常を描き、ストップモーションパートでは彼女が作る「上司人形」が次々と不幸な目に遭う様子を描くクマ。風で服を飛ばされ、冷たい川に落ち、クリスマスライトで感電し…。観客はまんまとこの「復讐劇」に笑わされるんだけど、上司がプレゼントをくれた瞬間、物語は反転するクマ。女性は靴下の糸から小さな犬を作り、上司人形に寄り添わせる。アニメーションの中でハッピーエンドが描かれ、それが現実世界にも反映される。制作面では、Arch Model Studioと共に9つの実写セットをゼロから構築し、その多くをミニチュアで複製。12体のフェルトキャラクター、7つの精巧なセット、50以上のカスタム小道具。水しぶきのシーンではチームが初めて使う技術を開発したクマ。そしてすべてiPhone 15 Pro MaxとMacBook Air M2で撮影・編集されたという事実が、製品デモを押し付けがましくなく成立させているクマ。
▎展開・成果
2024年プライムタイム・エミー賞で「Outstanding Commercial」を受賞し、Appleとして2年連続・通算4度目のエミー受賞となったクマ。これは同じブランドが2年連続でこの賞を獲るという史上初の快挙クマ。さらにCannes Lionsでgoldを含む4 Lions、D&ADでYellow Pencilを含む5本、The One Showで7 Gold Pencils、ADCで7 Golden Cubes、British Arrowsでgoldとbronze 2本、ANDYsとShots Awardsでも複数のgoldを獲得という圧倒的な評価クマ。AppleのYouTubeチャンネルでプレミア公開され、累計19M viewsを達成(うち4Mがorganic)。35カ国以上で300以上の見出しが書かれ、Apple holiday filmの中で最長の視聴時間を記録したクマ。George Harrisonのストリーミングも25%増加したらしい。インターネットのコメントも温かくて、「広告が芸術作品になったとき、脱帽するしかない」という声まであったクマ。
▎余韻
これ観たあと、クマも「iPhoneでストップモーションの作り方」を検索しちゃったクマ。それがまさに狙いで、押し付けがましくなく「やってみたい」と思わせる強度がすごいクマ。ムカつく上司も、孤独な人間も、みんなそれぞれの物語を抱えてる。それを「見てあげる」優しさを持てたら、世界はちょっと良くなる。そんな普遍的で、でもめちゃめちゃ今必要なメッセージを、George Harrisonの歌声とフェルト人形と実写とiPhoneとMacで紡いだこの作品は、2023年ホリデーシーズンの圧倒的勝者だったクマ。やさしさは伝染するクマ。
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