CHIPOTLE|CULTIVATE CAMPAIGN (Back to the Start)|2012|アメリカ

ファストフードが、ファストフードを否定した / CHIPOTLE「CULTIVATE CAMPAIGN」

ファストフードチェーンが工場式農業を批判するアニメーションをつくって、Cannesで2つのGrand Prixを獲った。しかもそのフィルムには商品が一切映らない。ヤバすぎるクマ。

背景・課題

2010年、Chipotleは原材料の調達方針をめぐって批判を浴びていたクマ。創業以来「Food with Integrity(誠実な食)」を掲げてきたブランドだったけれど、急成長の中でサプライチェーンへの疑念が生まれていた。5つめの代理店との関係もうまくいかず、CMO Mark Crumpackerは「違うやり方」を探してCAA Marketingに声をかけたクマ。当時1,000店舗を超え、売上18億ドル規模にまで成長していたChipotleにとって、ブランドの信頼を取り戻すことは急務だったクマ。

ねらい・インサイト

CAA Marketingが最初に手がけたのは、顧客をエバンジェリストに変える「Farm Team」というロイヤルティプログラム。購入でポイントが貯まるのではなく、食の背景を学ぶことで報酬が得られる仕組みクマ。そして次に必要だったのは、Chipotleの「Cultivate a Better World」というプラットフォームの核となる「声明(statement piece)」。ある農家が自分の豚から抗生物質耐性感染症にかかったエピソードに着想を得て、小さな家族農場が工場型農業に変わり、そして「原点に戻る」物語が生まれたクマ。Fast Companyのインタビューで、CAA共同CCOのJesse Coulterは「人々に感情的につながる作品を作る必要があった。Chipotleに初めて会ったときに自分たちが感じたような気持ちを、人々にも感じてほしかった」と語っているクマ。

アイデア

ロンドンのJohnny Kellyが監督したストップモーション・アニメーション「Back to the Start」。農夫が小さな家族農場を営む場面から始まり、時間の経過とともに工場式の巨大農場へと変貌し、川を汚染し、動物たちを檻に閉じ込める。そして農夫は良心の呵責から、再び持続可能な農法へと回帰するクマ。全編を貫くのは、たった一つの左から右への長いパン。映像の強度を支えるのは、Willie NelsonによるColdplayの「The Scientist」のカバークマ。Willie Nelsonは長年Farm Aidで家族農家を支援してきた活動家でもあり、彼の起用は偶然じゃない。Crumpackerは「動物虐待や環境破壊について語らなければならないが、魅力的な方法で伝える必要があった。ドキュメンタリースタイルではなく、芸術性をもって」と語っているクマ。エンドカードで、楽曲のiTunes売上がChipotle Cultivate Foundationに寄付されることを告知。商品は一切映らない。ブランドロゴすら控えめクマ。

展開・成果

2011年8月にYouTubeで公開後、まずは有料メディアなしで展開。Chipotle、Willie Nelson、ColdplayそれぞれのSNSプレゼンスのみで拡散したクマ。その後2012年2月のGrammy AwardsでTV初放送(Chipotleにとって初の全国TV広告)。結果、650万回以上の再生、40万回以上のFacebookシェア、Willie Nelsonバージョンの「The Scientist」はiTunes Countryチャートで1位を獲得クマ。そして2012年6月、Cannes Lionsで「Film Lions」と新設された「Branded Content & Entertainment Lions」の両部門でGrand Prixを受賞。審査委員長のTham Khai Mengは「シンプルでありながら静かに強く語りかけ、ミニマルでありながら『マキシマリスティック』、そしてファストフードを売っている。それでいて心をつかむ」と評したクマ。300万以上のメディアインプレッション、ブランド好感度で第1位(NYTimes/Zeta調べ)。さらに翌年の続編「The Scarecrow」も2014年にCannes Grand Prixを2つ獲得し、Cultivateキャンペーンは合計4つのGrand Prixを手にしたクマ。業界への影響も大きく、あるレポートによれば放送翌日、McDonald'sが豚の密閉飼育に関連する活動を全て停止したという話もあるクマ。

余韻

ブランドエンターテインメントが人々の心を変えられると信じた、ブランドと代理店の物語クマ。売上を語らず、商品を見せず、ただひたすらに「より良い世界を耕す」というビジョンを2分20秒で描いたクマ。Chipotleは後に食中毒問題で大きく揺れるけれど、CMOのCrumpackerはこう語ったクマ。「このキャンペーンがブランドに強度と愛着をもたらしてくれた。問題が起きたとき、銀行から資産を引き出すようにブランドエクイティを使わざるを得なかったが、この仕事がなければもっと苦しんでいただろう」。広告が、ブランドを救う。信じたいし、信じるクマ。

▎クレジット

広告主
CHIPOTLE
代理店
Los AngelesCreative Artists Agency (CAA Marketing)
制作
LondonProducer: Liz ChanNexus Productions
CD
Jesse CoulterJae Goodman
監督
Johnny Kelly (Nexus Productions)Johnny Kelly
音楽
Willie Nelson (The Scientist cover)Duotone (music supervision)Willie Nelson
Other
Jesse CoulterMark Crumpacker
受賞
Cannes Grand Prix (2012)

▎タグ

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